【東京五輪】 陸上男子100メートル優勝はイタリアのヤコブス 女子三段跳びで世界新
東京オリンピックは1日、陸上男子100メートル決勝がオリンピックスタジアム(国立競技場)であり、イタリアのラモント・マルチェル・ヤコブス(26)が衝撃的な勝利で金メダルを獲得した。女子三段跳び決勝では世界新記録が生まれた。
イタリア勢がこの種目で優勝するのは初めて。イギリスのザーネル・ヒューズはフライングで失格となった。
ヤコブスは2018年に走り幅跳びから短距離に転向したばかり。9秒80のタイムで駆け抜け、2着のフレッド・カーリー(アメリカ)に0.04秒差で勝利した。
銅メダルは、アンドレ・ドグラス(カナダ)が2大会連続で手にした。
ヤコブスはこれまで、ヨーロッパ室内選手権の60メートルで優勝していた。だが、偉大なボルトの後継者になると予想する人はほとんどいなかった。10秒の壁を初めて破ったのは今年5月だった。
しかし決勝では、スタートでスピードに乗ると、一気にゴールまで疾走。ボルトがリオ五輪で出したものより速いタイムで新王者になった。
トラックでは、チームメートの男子走り高跳び選手ジャンマルコ・タンベリがヤコブスを祝福し抱擁。ヤコブスはイタリア国旗で身を包んだ。タンベリは直前に自身の競技があり、ムタズエサ・バルシム(カタール)と共に五輪記録の2メートル39に失敗すると、金銀の決着をつけずに金メダルを分け合っていた。
ヤコブスは、「ああ、夢だ、夢だ、素晴らしい」と話した。
「明日になればみんなが何を言っているのか思いをめぐらせることができるかもしれないが、今日はただ信じられない思いだ」
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銀メダルのカーリーは、ヤコブスが新たなライバルになったと認めた。
「彼については本当に何も知らなかった。(ヤコブスが9秒99で3位に入った)モナコのダイヤモンドリーグが、彼との最初のレースだった」
「彼は見事だった」
ヤコブスは、アメリカ人の父親とイタリア人の母親の間に米テキサス州で生まれた。1歳になる前に家族でイタリアに移った。
ブロメルは決勝に進めず
世界選手権王者のクリスチャン・コールマンと、今年の世界最高記録を出しているトレイヴォン・ブロメル(ともにアメリカ)は、決勝に姿がなかった。
コールマンはドーピング検査を3回怠り、居場所情報を申告しなかったことで資格停止処分を受け、今大会に出場できなかった。
一方、ブロメルは準決勝で敗退。前回リオデジャネイロ五輪の覇者で、すでに引退しているウサイン・ボルト(ジャマイカ)と同じく、決勝は外から眺める立場となっていた。
けいれんが原因と説明
イギリスのヒューズは、スターや大物のいないレースで自分が走っていたらどうなっていただろうと、思わずにはいられないことだろう。
彼の明白なフライングは、1996年アトランタ五輪でリンフォード・クリスティ(イギリス)が失格し、メダルを逃がした場面を思い出させるものだった。
ヒューズは、ふくらはぎの突然けいれんがフライングの原因だと話した。6月のイギリス選手権でも同様のミスを犯していた。
生まれる前の世界新を破る
男子100メートル決勝の直前には、フィールドで女子三段跳び決勝があり、ヴェネズエラのユリマル・ロハス(25)が世界新記録で優勝した。
ロハスは1回目の試技で15メートル41を出し、他の選手を引き離した。最後の6回目、すでに勝利をほぼ確実にしていたが、15メートル67に記録を更新。彼女が生まれる2カ月前にイネッサ・クラヴェッツ(ウクライナ)が打ち立てた、15メートル50の世界記録を超えた。
「すごい。素晴らしい夜だ」とロハスは話した。
「今日新記録を出せるだけの飛距離が私の脚の中にあると、自覚していた。技術面では少し失敗したが、最後のジャンプですべてを出し切るべきで、その通りになった」
順位