緊急事態宣言が夏休みシーズンに直撃 帰省や旅行どうなる

緊急事態宣言後も入場者数を制限して営業を続けるUSJ(大阪市此花区)
緊急事態宣言後も入場者数を制限して営業を続けるUSJ(大阪市此花区)

東京都や沖縄県に加え、大阪府など4府県にも発令が決まった緊急事態宣言は、夏休みシーズンを直撃する。8月2~31日の期間中は不要不急の都道府県間の移動を控えるよう呼びかけられており、帰省や旅行を計画していた家族連れは揺れている。観光地の客足に響くことも予想され、関係者からは悲痛な声が上がった。

「大阪から行ってもいいものか迷っている」。福岡県の実家に帰省予定という大阪府吹田市の会社員男性(41)は困惑気味に話す。2度のワクチン接種を終えた父は4人の息子を連れて帰ってくるようにと言うが、「父は孫たちに会いたいのだろうが、周囲の人たちにどう思われるかが心配だ」ともらした。

中学1年と小学5年の娘を持つ大阪市東住吉区の美容師の女性(40)も山陰地方への帰省を予定していたが、「地方でも感染者が増えているし、大阪ナンバーの車で帰省しにくい」と取りやめることも考えている。小学生の娘2人を持つ大阪府枚方市のパート女性(41)は「昨年から緊急事態宣言で旅行の予約を2回キャンセルして、子供たちもがっかりしていた。8月の旅行はどうしようか」とこぼした。

8月は観光業界の書き入れ時とあって、緊急事態宣言下でも営業を続ける観光施設は多いが、不安の声ももれる。

大阪・ミナミの観光名所、通天閣は宣言発令後も時間短縮して営業を継続する方針。ただ、運営する通天閣観光の高井隆光社長(46)は「8月は一年を通じて最も来場者が多い時期だが、宣言が発令されると客足にも影響するだろう。今までの分も取り戻せるかと期待していただけに、非常につらい」ともらす。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)も、宣言発令後も入場者数を5千人に制限して営業を継続する。8月中旬に家族で訪れる予定という同市浪速区の会社員女性(40)は「お盆に家族で行く場所があるのは助かる」としつつも、「不要不急の外出自粛が求められる中、戸惑いがあるのも事実。何のための宣言なのか、よく分からない」と話した。

度重なる宣言発令は、旅行業者にも影を落とす。大阪市東住吉区の旅行業「摂陽観光」には、7月30日に宣言発令が決まって以降、予約のキャンセルが入り始めたといい、藤原雅彦社長(70)は「今年はワクチン接種を終えた顧客も多く、旅行に行く人もいると思っていた。企業や団体から旅行自粛ムードが広がるのが心配だ」と頭を抱えた。

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