政府予算の繰越額、過去最高の30.7兆円 20年度決算
財務省が30日発表した2020年度の一般会計決算によると、翌年度への繰越額は30兆7804億円だった。新型コロナウイルスの感染拡大に対応する巨額の補正予算を3度編成したものの、中小企業向けの実質無利子・無担保融資に充てる財源の余りや公共事業の執行遅れなどが発生。過去最高の繰越額になった。
20年度予算の歳出総額は175兆円だった。2割近くが繰り越しになった計算になる。主な内訳をみると、実質無利子・無担保融資などの財源として6兆4140億円、公共事業は4兆6937億円、時短営業など飲食店への協力金に充てる地方創生臨時交付金が3兆3115億円などとなった。
巨額の繰越金が発生したのは、約21兆円の追加歳出を盛り込んだ20年度3次補正予算が21年1月に成立し、年度内に執行できなかったものが多かったためだ。コロナ禍が長引いた影響もあった。予算の規模を大きくみせるために補正予算の規模ありきで、政策の中身が置き去りになった面もある。
政府の予算は年度内に使い切るのが原則だ。自然災害など避けられない事故で支出ができなかった場合や年度内に支出が終わらない見込みのあるものはあらかじめ国会の議決を経たうえで繰り越しを認めている。これまで繰越額が最も多かったのは東日本大震災直後の12年度の7.6兆円だった。
20年度の特別会計決算では、歳入から歳出を差し引いた剰余金が10兆円だった。外国為替資金特会の運用収益や年金特会で年金給付費が予定を下回った。剰余金は国債の償還などに使う国債整理基金特会を除く各特会の合計額。このうち1.9兆円を一般会計に繰り入れた。残りは4.8兆円を21年度の特会歳入、3.3兆円を積立金に充てた。
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