NYダウ反発、153ドル高 早期のテーパリング観測後退で
【NQNニューヨーク=古江敦子】29日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比153ドル60セント(0.4%)高の3万5084ドル53セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が早期にテーパリング(量的緩和の縮小)に動くとの観測が後退し、株式市場に資金流入が続くとみた買いが優勢となった。相対的に売られていた景気敏感株が買い直され、指数を押し上げた。
FRBのパウエル議長は前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、テーパリング開始について「今後複数の会合で協議する」と語った。米景気回復の一段の進展には「ほど遠い」との見方も示した。市場では「テーパリングに慎重な姿勢を示したため、株の買い安心感が広がった」(米証券ミラー・タバックのマシュー・マリー氏)と指摘された。
朝方発表の2021年年4~6月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率で6.5%増と市場予想(8.4%増)を下回った。「景気過熱によるインフレ加速への警戒感が後退し、金融緩和が当面続くとの期待を誘った」(ナショナル・セキュリティーズのアート・ホーガン氏)との声が聞かれた。
6月以降は売られがちだった景気敏感株が買い直された。原油先物の上昇を受けて石油のシェブロンが上げ、半導体のインテルや化学のダウが高い。金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスも上げた。クレジットカードのマスターカードが29日朝に発表した21年4~6月期決算が市場予想を上回り、同業のアメリカン・エキスプレスが連れ高した。前日に下げたスマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトも小反発。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前日比15.680ポイント(0.1%)高の1万4778.264で終えた。半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が5%上げ、過去最高値を更新した。前日夕に市場予想を上回る決算を発表したクアルコムも大幅高となり、半導体株の上昇が目立った。