装丁は面白い ジャケ買い誘う、不意打ちの出会い
今こそイケてる!紙の本(5)
「本屋では振り向いてもらえるよう目立って、家では目立たずなじむのが理想の装丁」。ブックデザイナーの名久井直子は、谷川俊太郎や川上未映子、江國香織ら人気作家の作品の装丁を数多く手がけてきた。彼らが紡いだ文章を本というかたちに整え、読者に向けて送り出す。
小説の世界観をかたちに
武蔵野美術大学でデザインを学んだ後、広告代理店に入り、テレビCMや新聞広告、電車の中刷り広告などに携わった。仕事はおもしろ...
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電子書籍が当たり前の時代にあっても、紙の書籍を求める人たちがいる。デジタルと違い、紙の本は単に視覚で情報を得る手段ではない。表紙の手触り、ページをめくる音、インクの匂い。様々な感覚を通して人の心にしみ通り、眠っていた感情や記憶を呼び覚ます。新型コロナの感染拡大で人と人の物理的な距離を取る必要がある時代だからこそ、モノとしての本を介したゆるやかなつながりにも光が当たっている。