これ一個で済むと思ったら安い?
「Beoplay Portal」はBang & Olufsen(バングアンドオルフセン)のゲーミングヘッドセットで、価格はなんと約6万円もする高級品です。
今回お借りすることができたので1週間ほど試してみたのですが、普段ならとうてい手が出ない価格帯のはずが、使えば使うほど、考えれば考えるほど欲しくなるヘッドホンだということがわかりました。それでも「高い!」という印象は最後まで消えませんでしたけどね。欲しくなった理由は次の通り。
理由1:遅延の少ないワイヤレスゲーミングヘッドセットである
無線のゲーミングヘッドセットってだけで選択肢が少ないのに、B&Oからそれが発売されたことがまず驚きでした。
Beoplay PortalはBluetooth、有線(USB-C、3.5mmジャック)、Xbox Wireless Adapterの3種類の方法でデバイスと接続できます。中でもXbox Wireless Adapterはゲーム向けの接続方法で、別売りのアダプターをWindows PCに接続することで超低遅延のワイヤレス接続ができるようになります。
FPSバトロワゲーム『Apex Legends』をBeoplay PortalのXbox Wireless Adapter接続でプレイしましたが、カジュアルに遊ぶには充分すぎるほど快適に音を聞くことができました。有線が最も低遅延なのは確かですが、プロでもない限りはワイヤレスであることのメリットが大きいと思います。
肝心の定位感や足音の方向のわかりやすさについては、少し普通のゲーミングヘッドセットよりも劣る気がしました。これについてはアプリで音楽向け、ゲーム向けなど音質のプリセットを調整できるので、自分が聞きやすいように設定を詰める必要がありそうです。
理由2:デザインがゲーミングっぽさゼロ
ゲーミング〇〇というと、七色に光るSFっぽいデザインばかりの印象です。が、Beoplay Portalはそんなゲーミングっぽさを1ミリも感じません。レザー調のヘッドバンド、ヘアライン加工されたアルミの側面、ふっかふかのイヤパッドといった要素たちはもう、いつものB&Oでしかありません。
ゲーミング製品が流行っているのは事実ですが、ゲームのためだけのデバイスを買うってよく考えたらすごく贅沢な発想です。仕事用・ゲーム用とガジェットを分けていたらキリがありません。だからこそBeoplay Portalはゲーム以外の時間、仕事や外出時につけていても違和感のないデザインなのかもしれません。
理由3:ノイズキャンセリングが強くて音質もいい
デザインがおしゃれなこともあり、ゲームだけじゃなく、普段使いのヘッドホンとしても活躍してくれます。
音楽を聴くヘッドホンとしての音質はさすがのBang & Olufsenです。言うまでもなく良いです。自然な音で聴き疲れしませんし、艶があってリッチな音がします。
そしてノイズキャンセリングも秀逸です。フカフカで聴き疲れしないイヤーパッドの遮音性が高く、それに加えてノイズキャンセリングをかけて装着していると家の生活音はほとんど聞こえなくなります。ノイズキャンセリングの強さは本体のタッチ式のパネルをなぞることで調節できますが、この反応もキビキビしていて使いやすいです。
内蔵マイクはゲーミングヘッドセットとしては普通の音質。通話相手から指摘されるようなノイズや聞きづらさはないようでした。口元まで伸びるようなブームマイクは搭載されていないぶん、デザインがすっきりしているのが嬉しいところです。仕事の会議でも問題なく使うことができました。
外すタイミングを忘れるヘッドセット
このようにBeoplay Portalは、低遅延ワイヤレスゲーミングヘッドセットとしてのベースをおさえながら、ノイズキャンセリングや音質といったB&Oのハイエンドヘッドホンの側面もある「全部入り」プロダクトなのです。
これ1本あれば、ゲームはもちろん、オンライン会議、移動中の音楽鑑賞と本当に1日中使えてしまいます。そう考えると6万円は高いようで高くないのかも。同じようなことを言われたヘッドホンがもう一つありますが、アレとはまた違う意味で。
音のいいワイヤレスヘッドホンと、ゲーミングワイヤレスヘッドセットを1つずつ買うくらいなら、6万円払ってBeoplay Portalを買ったほうがいいんじゃないでしょうか。
...いやぁ、でも6万かぁぁ。
Photo: amito