大橋悠依(25=イトマン東進)が、日本勢最初の決勝に臨んだ。4分32秒08で優勝した。

得意の背泳ぎでトップに浮上。強化してきた平泳ぎでさらにリードを広げた。最後の自由形で逃げ切って金メダル。右腕を大きく振り上げて、水面をたたいて喜びを表現した。プールからあがると、込み上げてくる涙に、両手で顔を覆った。

「不安もあったけど、昨日(の予選)でいい泳ぎができたので、自分を信じて泳いだ。自分が金メダルをとれるなんて…。本当に思ってなくて。まだ夢みたいですが、ここで泳いでいてすごく楽しくて」と感極まった表情で言った。

日本記録4分30秒82を持つ大橋は、19年世界選手権銅メダルを獲得している。女子エースとしてメダル獲得が期待されていた。

24日には同じ400メートル個人メドレーで金メダル候補だった男子瀬戸大也(27)が、まさかの予選落ち。大橋はそれを見て「五輪は何があるか、わからないな。亜華葉(谷川)と2人で『どうしよう、怖いな』と言っていた」。世界選手権でメダル2個を獲得も、五輪は初出場だった。「結構緊張していた」。だが予選のレース前に平井コーチに「どうだ?」と聞かれた。「正直怖いです」と答えると「それが普通だと思うから、決めたことをただやるように」とアドバイスされた。300メートルまでしっかり泳ぐレースプランを守って、全体3位で決勝進出した。

競泳ニッポンで初めてメダルをかけた決勝レース。「男子4個メ(予選)が終わって、最初(の決勝)になるなと思っていた。できることをやったらメダルが取れると思うので。自分のことをやりたい」と腹をくくって決勝に臨んでいた。

滋賀・彦根市出身で、勝負レースでは「ひこにゃん」の靴下を愛用。陸上男子の桐生祥秀と同郷で、同じ東洋大卒。成人式で一緒に記念撮影するなど幼なじみでもある。【益田一弘】