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官僚トップの杉田和博官房副長官(80)が25日、就任から3134日を迎え、在職日数の歴代最長記録を更新した。警察庁OBとして政府の危機管理などで安定した手腕を発揮し、安倍、菅両内閣の政権運営を足元で支えてきた。
杉田氏は2012年12月に発足した第2次安倍内閣で、官僚機構の頂点である事務担当の官房副長官に就いた。17年8月からは、省庁の幹部人事を統括する内閣人事局長を兼務し、「官邸の要」(加藤官房長官)として霞が関を統率している。
在職期間は25日で過去最長だった古川貞二郎氏を抜き、歴代1位となる。杉田氏はこれまでの約8年7か月を振り返り、「これほど長くやるとは思っていなかった。課題を処理して気づいたらここまで来ていた」と周囲に語る。
安倍内閣で直属の上司にあたる官房長官を務めた菅首相からの信頼も厚い。首相が新型コロナウイルス対策の「切り札」と位置づけるワクチン接種では、自衛隊の活用を進言し、東京と大阪での大規模接種センターの設置につなげた。東京五輪・パラリンピックのテロ対策などでも陣頭指揮を執る。
一方、政府による日本学術会議の会員候補6人の任命拒否は、杉田氏が主導したとされ、「強権的だ」(自民党中堅議員)との声も漏れる。高齢の杉田氏は持病を抱えており、これまでもしばしば勇退説がささやかれた。ただ、官邸主導の担い手の一人として霞が関ににらみをきかせる存在だけに、「代わりが務まる人はいない」(首相周辺)として、いずれも立ち消えとなった。