NYダウ反落、299ドル安 新型コロナ再拡大を警戒
【NQNニューヨーク=横内理恵】16日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比299ドル17セント(0.9%)安の3万4687ドル85セントで終えた。新型コロナウイルスの感染再拡大への警戒感から投資家心理が悪化し、幅広い銘柄に売りが出た。ダウ平均は取引終了にかけ下げ幅を広げる展開だった。
アジアを中心に世界で新型コロナの感染力の強いインド型(デルタ型)の感染が広がっている。米国でもデルタ型の拡大を受け、カリフォルニア州ロサンゼルス郡の保健当局は15日、ワクチン接種の有無に関係なく屋内でのマスク着用を17日から再度義務付けると発表した。ワクチン接種が進む国でも行動制限に踏み切る動きが相次ぎ、「投資家は改めて新型コロナ禍による景気減速懸念を警戒し始めた」(ワシントン・クロッシング・アドバイザーズのチャド・モーガンランダー氏)との声があった。
同日発表の7月の米消費者態度指数(ミシガン大学調べ)速報値が80.8と市場予想(86.3)を大きく下回った。同調査では消費者の1年後の予想インフレ率が6月の4.2%から4.8%に上昇し、米家計が住宅や耐久消費財などの値上がりへの懸念を強めていることも明らかとなった。
午前中にダウ平均は上昇する場面もあった。ダウ平均は寄り付き直後に12日に付けた過去最高値を一時、上回った。6月の米小売売上高が減少だった市場予想に反して増加し、消費の底堅さを好感した買いが入った。ただ、高値警戒感や週末を控えた持ち高調整の売りが強まり、ダウ平均は下落に転じた。
行動制限強化で世界景気の回復が鈍化するとの懸念から化学のダウや映画・娯楽のウォルト・ディズニー、石油のシェブロンなど幅広く売りが出た。米長期金利が上がりにくくなるとの見方が強まり、利ざや悪化懸念でJPモルガン・チェースなど金融株も下げた。足元で上昇が目立っていたスマートフォンのアップルなど主力ハイテク株にも利益確定売りが出た。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続落し、前日比115.896ポイント(0.8%)安の1万4427.237で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや動画配信のネットフリックスが下げた。画像処理半導体(GPU)のエヌビディアなど半導体株も総じて安い。