照ノ富士の綱とりが成就するか、元横綱三重ノ海で相撲博物館の館長を務める石山五郎氏(73)も、テレビ越しで注視している。

照ノ富士は中盤戦も白星スタート。大関陥落を経験して、横綱昇進を果たしたのは三重ノ海だけだが、石山氏は「私とは比較にならない」と言い切る。「落ちてここまで戻ってくる力士は今後出ないでしょう。まず大関から落ちて、序二段で取ることが考えられない」。不屈の精神に舌を巻いた。

新大関から在位わずか3場所で関脇に陥落し、特例での復帰に向けて2桁白星が求められた76年名古屋場所は、進退を懸けて土俵に上がったという。「カムバックできなかったら引退しようと決めていた」。結果は10勝5敗で返り咲きに成功。「大関という立場上、大変な思いはある」と、当時の苦労を懐かしそうに振り返った。

横綱誕生は17年初場所後の稀勢の里(現荒磯親方)が最後となっている。石山氏は「特に大関には頑張ってもらいたい。白鵬も体の具合が悪くなっているんだから、早く新しい横綱が誕生してほしい。今の大関は、みんな横綱になるチャンスなんだから」と、奮起を求めていた。【佐藤礼征】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)

石山五郎氏
石山五郎氏