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インターネット上で外国人を名乗る相手と知り合って親密になった後、様々な名目で金を要求され、だまし取られる「国際ロマンス詐欺」の被害が、今年に入って和歌山県内で少なくとも9件発生していることが、県警への取材で分かった。被害総額は約6600万円に上り、県警が詐欺容疑で捜査している。同様の詐欺は米国など海外でも問題になっており、県警が注意を呼びかけている。(相間美菜子)
県警によると、今年1月から5月末までに、県内の20歳~50歳代の男女9人が県警に被害を届け出た。うち6人が女性だった。被害者の中には2000万円以上をだまし取られた人もいるという。
知り合ったきっかけは、恋人を探す「マッチングアプリ」やSNSだった。相手は、アメリカ、中国、シンガポール、マカオなどさまざまな国籍を名乗り、職業も陸軍兵や医師、無職などばらばら。やり取りは、英語か日本語だった。
1か月ほどメッセージのやりとりを行い、相手に恋愛感情を抱かせる。中には、「結婚する」とうその約束をした例もあった。被害者の一人は「毎日のようにやりとりをしていて、そのうち大好きになっていった」と話しているという。
相手を信頼させた後は、「けがをしたので治療費を」「荷物を送りたいので、配送料を」などと指定口座に送金を要求。暗号資産(仮想通貨)を求められたケースもある。
特に多い手口は投資話だ。外国為替証拠金取引(FX取引)で「会社に投資してくれ」と、指定の口座に振り込むよう指示するケースが多い。
被害者は金を送った後、相手と連絡が取れなくなったり、知人から「詐欺ではないか」と指摘されたりして初めて、だまされたことに気づいたという。
ロマンス詐欺の被害者の相談や啓発活動などを行ってきたNPO法人理事長、新川てるえさん(56)は「新型コロナウイルスの影響で人間関係が希薄になっている。インターネットに出会いを求めたり、SNSをする時間が長くなっていたりするから、ロマンス詐欺が増えているのではないか」と推測。「恋愛ということで気持ちも盛り上がり、巧みなマインドコントロールで精神的に追い詰められ、気がつけば被害に遭ってしまう」と話す。
県警は「知らない外国人からメッセージが届いたり、恋愛話が急にもうけ話に切り替わったりした場合は、一度立ち止まって県警や県の窓口で相談してほしい」としている。
相談窓口は県警のフリーダイヤル(0120・