パウエル議長「経済活動と雇用は強さ増した」…金融政策の正常化模索

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 【ワシントン=山内竜介】米連邦準備制度理事会(FRB)は16日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、事実上のゼロ金利政策を解除する利上げ再開が、2023年中になるとの見通しを示した。3月時点では24年以降と見込んでいたが、景気回復を踏まえて前倒しした。市場から米国債などを買い入れる「量的緩和」についても、縮小に向けて雇用情勢の改善などを検証していく考えだ。

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オンラインで記者会見をするFRBのパウエル議長(16日)
オンラインで記者会見をするFRBのパウエル議長(16日)

 今回の会合では、ゼロ金利政策を維持し、量的緩和も現行ペースで継続することを決めた。新型コロナウイルス感染拡大後の昨年3月、FRBは大規模な金融緩和に踏み切り、粘り強く継続する方針を示してきた。具体的な利上げ再開の見通しが示されたことで、金融政策の正常化を模索する動きが本格化しそうだ。

 FRBのパウエル議長はオンラインの記者会見で、「経済活動と雇用は強さを増した」と述べた。景気回復に伴う物価上昇の加速は「一時的」との認識を改めて示した一方、「経済再開の動きは前例がないもので、予想を上回って持続する可能性もある」と警戒感も強調した。

 3か月ごとに公表するFOMC参加者の政策金利見通しでは、18人のうち13人が23年末までの利上げ再開を見込んだ。3月の前回は7人だった。政策金利見通しの中央値から、23年は0・25%幅の利上げを2回実施すると想定された形だ。

 22年中の利上げを見込む参加者も7人おり、前回の4人から増えた。

 FRBは利上げに先立ち、量的緩和の縮小に着手する構えだ。パウエル氏は緩和縮小に向けて、「今後の会合で経済の進展状況を確認する」と説明し、今後の経済データをみた上で具体的な議論に入る考えを示した。具体的な縮小時期に関しては、「もっとデータを見たら話すことができる」と述べるにとどめた。

 参加者が示した経済見通しは、ワクチンの普及や大型財政出動による経済活動の正常化を受け、引き上げられた。21年10~12月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比7・0%増と予測し、3月時点より0・5ポイント上方修正した。物価上昇率は21年10~12月期に3・4%となった後、22年以降は2%台前半に低下すると見込んだ。

 「緩和マネー」に支えられた金融市場は、FRBが金融緩和を早期に縮小するのを警戒している。利上げに向けた動きは、米金利の上昇を通じた新興国からの資金流出など、市場の波乱要因となる可能性もある。

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2131250 0 経済 2021/06/17 12:45:00 2021/06/17 12:45:00 2021/06/17 12:45:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210617-OYT1I50047-T.jpg?type=thumbnail

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