「ゴーン被告の妻から依頼」逃亡支援の父子初公判

2019年12月、トルコのイスタンブール空港で防犯カメラに写ったマイケル・テイラー被告(右)(AP)
2019年12月、トルコのイスタンブール空港で防犯カメラに写ったマイケル・テイラー被告(右)(AP)

日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(67)=会社法違反罪などで起訴=のレバノンへの逃亡を支援したとして、犯人隠避の罪に問われた米国籍で米陸軍特殊部隊グリーンベレー元隊員、マイケル・テイラー被告(60)と息子のピーター被告(28)の初公判が14日、東京地裁(楡井英夫裁判長)で開かれた。両被告は起訴内容を「間違いない」と大筋で認めた。

冒頭陳述で検察側は、両被告がゴーン被告の妻、キャロル・ナハス容疑者(54)=偽証容疑で逮捕状=から逃亡の支援を依頼され、報酬やピーター被告が経営するインターネット広告代理店への便宜供与などを期待して犯行を決意したと指摘。一方、弁護側は、両被告がゴーン被告の遠い親戚に当たるなどとして情状酌量を求めた。

マイケル被告の供述調書によると、逃亡支援を依頼したキャロル容疑者は「(ゴーン被告が)無実の罪で刑務所に入れられる。逃亡を手伝うことは日本では犯罪にならない」などと説明。ゴーン被告とは暗号化メッセージアプリなどを利用し、連絡を取っていたという。

保釈中だったゴーン被告は、関西国際空港付近のホテルで箱の中に入り、関空からプライベートジェットで出国した。公判では、ホテルの職員の供述調書も読み上げられ、マイケル被告が「(ケースに)X線検査はかけていないか。X線検査をすると、中のギターのアンプが壊れてしまう」などと警戒していたことも明かされた。

起訴状によると、両被告は令和元年12月29日、ゴーン被告が関空から違法に出国する際、箱に隠して搭乗させるなどして逃亡の手助けをしたとしている。

東京地検特捜部は昨年1月に2人の逮捕状を取り、米当局がその後、2人を拘束。地検は日米間の犯罪人引き渡し条約に基づいて米側に移送を求め、今年3月に犯人隠避容疑で2人を逮捕した。

今月29日の次回公判では被告人質問が行われる。

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