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【エルサレム=工藤彩香】イスラエル国会(定数120)は13日、最大野党だった中道イエシュ・アティドなど8党が合意していた連立政権を信任投票で承認し、新政権が発足した。2009年以来、12年ぶりの政権交代で、在任が通算15年にわたったベンヤミン・ネタニヤフ首相(71)は退陣した。
信任投票は賛成60票、反対59票、棄権1票だった。新首相には極右政党ヤミナのナフタリ・ベネット党首(49)が就任する。組閣を主導してきたイエシュ・アティドのヤイル・ラピド党首(57)は外相を務め、23年8月にベネット氏と首相を交代する。
「反ネタニヤフ」を掲げた新連立政権には、極右や左派のほか、イスラエル史上初めてアラブ系政党も参加する。信任投票に先立ち、ベネット氏は国会で演説し、「全ての人々のために働く政府になる。我々は敵ではない、一つだ」と述べて融和姿勢をアピールした。
8党は政策で隔たりが大きい。当面は意見が対立するパレスチナ問題などは避け、共通の課題である新型コロナウイルス対策や経済再建、軍事衝突を機に国内で生じたユダヤ人とアラブ人の不和の解消などに取り組むとみられる。
イスラエルは19年4月以降、総選挙が4度にわたって行われる政局の混乱が続いていた。3月の選挙で第1党を維持したリクードを率いるネタニヤフ氏は退陣阻止に向け、投票直前まで「左派政権は危険だ」と訴えて右派の切り崩しを図ったが、不発に終わった。