藤井聡太2冠(王位・棋聖=18)が最上級のA級昇級を目指す、将棋の第80期順位戦B級1組3回戦、屋敷伸之九段(49)戦が13日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で始まった。午前10時から始まった対局は、14日午前0時41分、130手で後手の藤井が勝ち、今期の順位戦2勝1敗と白星が先行した。

相掛かりからお互いにじっと戦機をうかがいながら、駒組みを進めるスローペース。午後6時40分の夕食休憩明けから1時間15分経過した午後7時55分、ようやく本格的に駒がぶつかった。「ずっと難しいと思っていた。少し誤算があった。ちゃんと読まないといけなかった」と話した藤井が中~終盤、勝機を見いだして抜け出す。最後は屋敷の追撃を振り切って、びったり寄せた。

今期の順位戦は初戦で三浦弘行九段(47)を下して、一昨年3月から続く順位戦の連勝を「22」に伸ばし、単独2位(トップは森内俊之九段の26連勝)となった。続く2回戦では稲葉陽八段(32)に黒星。順位戦初の連敗だけは避けたかった。「星取りは考えずに臨もうと思っていた」と言う。

この対局は本来なら17日に予定されていたが、前倒しされた。藤井が18日に渡辺明名人(37)の挑戦を受ける第92期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第2局(兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」)を控えているためだ。29日からは、お~いお茶杯第62期王位戦7番勝負第1局(名古屋市「名古屋能楽堂」)も始まる。

加えて、順位戦は1年間の長丁場。残り9局ある。「先のことは考えず、目の前の1局1局をしっかり指していきたい」。防衛戦でも同じことが当てはまる。【赤塚辰浩】