NYダウ反発で始まる CPI上振れも長期金利落ち着き
【NQNニューヨーク=戸部実華】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発して始まり、午前10時現在は前日比230ドル63セント高の3万4677ドル77セントで推移している。朝方発表の5月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想以上に上昇したが、米連邦準備理事会(FRB)が量的緩和の縮小を急ぐほどではないと受け止められた。米長期金利も落ち着いており、株買いを後押ししている。
5月のCPIは前年同月比5.0%上昇と4月(4.2%上昇)から加速し、市場予想(4.7%上昇)も上回った。ただ、中古車価格など特定品目が急上昇した影響が大きい。市場では「低調だった前年の反動に伴う物価押し上げ効果は今後和らぐ」(オックスフォード・エコノミクス)、「FRBが来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で考えを変えることはない」(SIAウェルス・マネジメント)との見方が出た。前日までCPI発表を控えて様子見が続いていただけに買い安心感が広がった。
10日朝発表の米新規失業保険申請件数は37万6000件と前週から減った。市場予想(37万件)よりやや多かったが、雇用回復が続いているとみなされた。景気回復期待から航空機のボーイングや化学のダウ、建機のキャタピラーなど景気敏感株が高い。金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスが買われている。原油高を背景に石油のシェブロンも買いが先行した。
米長期金利はCPI発表後に一時前日比0.04%高い1.53%を付けた。ただ、売り一巡後は買いが優勢になり、前日比0.01%低い1.48%を付ける場面もあった。長期金利が低下すると買われやすいハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄への買いを誘い、ソフトウエアのマイクロソフトや顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが上げている。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は一時、前日比119.442ポイント高い1万4031.192まで上昇。機関投資家が運用の参考にするS&P500種株価指数は前日比29.57ポイント高い4249.12まで上げ、5月7日に付けた過去最高値(4232.60)を上回る場面があった。