人間の存在によって野生の鹿の「警戒心」が崩壊しているという研究結果

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野生の鹿は警戒心が強く、周囲の危険を察知すると即座に逃げ去っていきます。しかし、「人間が頻繁に立ち入る森に生息する鹿の場合はほぼ無警戒に見えるほど警戒心が低い」という調査結果が発表されました。研究者は「人間を絶えず警戒することに疲れてしまい、燃え尽き症候群のような状態になっているのでは」と述べています。

鹿の警戒心に関する新たな研究を発表したのは、ペンシルベニア州立大学のアーシア・マーフィー氏。マーフィー氏は、人間の存在がツキノワグマ・コヨーテ・ボブキャット・オジロジカにどの程度の影響を与えているかを調べるため、ペンシルバニア州中央部に位置する3カ所の公有林に定点カメラを設置。人間の影響の大きさが異なると考えられる、「森林」「農地」「低密度住宅地近郊」という3種類の地域における動物の行動を監視しました。

定点カメラによる調査は、子ジカが生まれたばかりの5月中旬~下旬頃から、狩猟シーズン直前の9月頃まで行われました。カメラ自体は「森林」「農地」「低密度住宅地近郊」の3カ所それぞれに最短でも半マイルの距離を空けて18台ずつ無作為に設置され、モーションセンサーによって動物を検知した際に3枚の写真を連続撮影するという設定でした。また、それぞれの撮影地点には、動物の尿やエサを混ぜ合わせた誘引剤が散布されました。 こうして撮影された1万枚超の写真を精査したところ、人間が頻繁に出没する農地や住宅地近郊と人間がほとんど姿を見せることのない森林では、ツキノワグマなどの捕食者とオジロジカの行動が著しく異なるとわかりました。中でも特記されているのが「オジロジカの警戒心」に関する変化で、捕食者との遭遇確率が低い「森林」においてはオジロジカは絶えず警戒する一方、捕食者との遭遇確率が高い「農地」「低密度住宅地近郊」では捕食者が最も活発に活動する時間帯のみ警戒行動を示すものの、残りの時間では警戒行動を示さないことが確認されました。

通常、オジロジカは生まれてから1年以内に半数以上が死ぬと考えられており、その原因の大半が捕食だといわれています。マーフィー氏によると、生まれたばかりの子鹿は自らが絶えず危険にさらされていることを本能で理解しているとのこと。しかし今回の調査では、人間の影響がみられる環境では警戒心が弱まることが確認されました。この現象の理由について、マーフィー氏は「人の存在によって、暮らしている環境の危険度が常に高くなった場合、動物は基本的に警戒行動を取らなくなります。研究して驚かされたのは、強い危険が迫っていると認識した子ジカの多くが隠れたり逃げたりしても無意味だというかのように、ただリラックスしているような状態になるということです。これは子ジカだけでなく、老いた鹿でも同様でした」と解説。今回の現象は、人間の存在による絶え間ないストレスによって燃え尽き症候群のようになっていることが原因だと語りました。

これまでの研究では人間の干渉によって捕食者が利益を得るのではと考えられていましたが、その証拠は得られていない状態でした。今回の調査では、人間が出没する地域では鹿の被捕食率が高かったとのことで、マーフィー氏の指導教官を務めたデュアン・ディーフェンバッハ兼任教授は「本研究は人間によってかき乱された土地が被捕食者と捕食者の相互作用に影響を与えることを初めて立証したという点で重要です」と述べました。

 

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そりゃ、餌くれるんだから放し飼いにされてるペットみたいなもの

シカたない…

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