IBM社長、世界的な半導体不足「あと2年」続く

Jim Whitehurst, President of IBM

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画像説明, IBMのジム・ホワイトハースト社長

米テクノロジー大手IBMのジム・ホワイトハースト社長は13日、世界的な半導体不足があと2年は続く可能性があるとの見方を示した。

ホワイトハースト氏はBBCワールド・ビジネス・ニュースで、半導体不足の状況が改善されるまで「数年」はかかる可能性があると語った。

新型コロナウイルスに端を発した半導体不足により、多くの企業で生産に遅れが生じている。

パンデミックの影響で多くの工場が操業停止となる中、感染症対策で自宅にとどまる消費者が増え、テレビや電話、ゲーム機の需要が急増。半導体不足に拍車をかけている。

「ある技術が開発され、(製造工場の)建設が開始され、半導体が完成するまでには大きなタイムラグが生じる」と、ホワイトハースト氏は述べた。

「率直に言って、半導体不足を全面的に解消するだけの生産能力を増強するには(中略)数年かかると考えている」

別の方法を検討

IBMはマイクロプロセッサ技術のライセンスを、米インテルや台湾のTSMC、韓国サムスンなどの世界的半導体メーカーに提供している。

ホワイトハースト氏は、消費者の需要を満たすために別の方法を検討しなければならないと付け加えた。

「我々は特定のコンピュータ技術の再利用などを検討し、(製造工場)への投資を加速させ、できるだけ早急にオンラインでの生産能力を強化しなければならなくなる」

世界最大の半導体顧客である米アップルは、最新のiPhoneの発売を延期せざるを得なくなった。

長期化への懸念の声

半導体不足について言及しているのはホワイトハースト氏だけではない。

先月にはネットワーク機器大手シスコのチャック・ロビンス最高経営責任者(CEO)がBBCに対し、半導体不足は少なくともあと6カ月は続くとの見方を示した。

アメリカのジョー・バイデン大統領も、半導体不足は長期的な問題であると考えている。先月ホワイトハウスで開催されたビジネスリーダーとの会議では、半導体の国内生産を強化し、アメリカが半導体製造を主導できるようにするよう求めた。

中国との貿易・技術戦争の真っただ中にあるホワイトハウスは、この問題を「最優先かつ緊急の課題」だとしている。

75%が東アジアに集中

米国半導体工業会(SIA)によると、世界の半導体生産能力の約75%は東アジアに集中している。TSMCとサムスンがその中心となっている。

欧州各国の政治家たちも、半導体の国内生産量を増やしたい考えだ。

一方で中国は、半導体の国内需要が大きく伸びているものの、世界の生産能力に占める割合はわずかだ。