ニューヨーク州で3年間マイニングが禁止されるかも

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ニューヨーク州で3年間マイニングが禁止されるかも
Image:GettyImages

これにはニューヨーク州もびっくり…?

先日、暗号資産のマイニングを禁止する法案6486がニューヨーク州のケビン・パーカー上院議員により提出されました。期間は数年間で、期間中にマイニングが環境へ及ぼす影響を調査するそう。パーカー議員は他の環境問題に関する法案にも関わっている人物です。

ここで、マイニングと環境問題について少し。マイニングは24時間行われるため膨大な電力を消費し大量の二酸化炭素を排出につながります。ニュースメディア・Digiconomistによると世界中でマイニングにより排出されてる二酸化炭素量は約5300万トンでスウェーデン一国が排出する量と同じなんです。

そして現在、マイニング事業の温床になっているのがニューヨーク。

今回の法案の内容は校訂されると思いますが、今のところ、3年間の禁止期間中に担当者が温室効果ガスの排出量や野生動物の生態、水質、大気にマイニングが与える影響を調査する予定とのこと。

これから、議会で審議されその後に市民の意見を聞く約4ヵ月の公示期間が設けられる予定です。公示期間中は環境汚染の事実はない、とあの手この手で叫ばれそうではありますが…。

電力装置をマイニング用として再利用

その一方でマイニングがすでに町の一部となった地区もあり、ドレスデンアルコアでは近ごろ古びた電力装置がマイニング用に再利用されています。中には余った電力を送電網に送っている地域もあるみたいですね。電力装置のオーナーにもお金が入り、ウィンウィンな関係なのかも。環境保護論者も驚きです。

加えて先月、米国のマイニング企業・Greennidge(グリーニッジ)がドレスデンにある4つの電力装置の稼働を大幅に増やす計画を発表。電力消費の激しいサーバーを取り付け、年末までに倍増させる予定とのこと。2025年までには、さらに上の500メガワットを目指すそうです。

水圧破砕法の時と同じ展開が待っている?

さて法案ですが、米国の自然保護団体・シエラクラブのRoger Downs氏は約10年前の水圧破砕法の二の舞になる可能性を示唆しています。

天然ガスなどを採掘する手段である水圧破砕法は、マイニングと同じように環境への悪影響が問題視され、2008年に当時の州知事デビット・パターソンが環境影響の調査を指示。その後に賛成、反対の口争いが繰り広げられました。争いは6年ほど続き、2014年に州知事アンドリュー・クオモが水圧破砕法を公式に禁止し収束。禁止令は去年のニューヨーク州予算にも組み込まれていました。

似た状況となることは十分に考えられますが、“何はともあれ、審査は暗号資産が環境に与える影響が客観的に調査される良い機会にはなると思います。最後は結果を元に、規制するべきか完全に禁止するべきかが決定されるでしょう”とDowns氏は言っています。

ちょうどビットコインの価値も急上昇しており、マイニングの影響力が多大であることは明らかですからね。(価格上昇に伴って多くの投機家が市場に参戦していることも、炭素排出増加の要因の1つかも)

ちなみに、ジャック・ドーシーやイーロン・マスクがビットコインはいいものだなんて発言をしていましたが、少なくとも環境にとって「いいもの」ではないことはほぼ確実と言えます。

マイニングをすでに禁止している都市もある

実は、法案が提出されたニューヨーク州のプラッツバーク市は2018年に米国で初めてマイニングを禁止した都市なんです。他には中国やモンゴルの一部地域でもすでに禁止済み。

今回は、1つの市だけでなく州全体でのマイニング禁止を試みているわけですが、皮肉なことに、Downs氏は環境保護を目的とした「 Climate Leadership and Community Protection Act(気候リーダーシップとコミュニティ保護法)」がニューヨークがマイニングの温床となったことに大きく関係しているとしています。

Downs氏の発言より

この法の成立後、人々は再生可能エネルギーで十分な電力を得ようと努力してきました。ニューヨーク州で最後の石炭火力発電所も昨年ついに廃止となり、ここ数十年は稼働を増やさなければいけない事態にも陥っていません。つまり、従来の二酸化炭素を排出する発電所は必要がなくなり、結果的にマイニング用として再利用されているのです

今回の法案ではマイニングは「 Climate Leadership and Community Protection Act(気候リーダーシップとコミュニティ保護法)」やパリ協定の目標達成の邪魔になるとされています。

現在のビットコインの盛り上がりは、人々が大量の不動産と等しい価値があるとし追い求めた結果です。Downs氏は“それらがたくさんの二酸化炭素を排出するわけですが、今のところは規制をうまくすり抜けています”とも述べていますね。