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厚生労働省は12日、新型コロナウイルス対策を検討する助言機関の会合で、感染力が強いとされる「N501Y」変異型の割合が全国で7割を超えたことを報告した。助言機関は「全国的に置き換わりが進んでいる」との見解を示した。
厚労省によると、新規感染者がN501Y変異型かどうかを調べる抽出検査は、5月2日までの1週間に全国で1万4751人に実施され、1万780人(73%)が陽性になった。
都道府県別にみると、変異型の割合が5割未満なのは、東北や北関東などの11県のみ。27道府県で7割を超えていた。
会合では、国立感染症研究所の分析から、変異型の重症化リスクは従来型の1・4倍と推定され、40~64歳では1・66倍と特に高いことも示された。
助言機関は「変異型による重症化リスクが高まっている可能性も想定し、医療体制の整備を行う必要がある」と指摘した。
感染状況については「ほぼ上げ止まりから横ばいで、全国的な感染拡大という状況ではない」と分析。ただし、地域差が大きく、新たに緊急事態宣言の対象となった愛知、福岡などでは、新規感染者数の増加が続き、医療提供体制の負荷が高まっているとした。
国立感染症研究所は12日、インドでの感染爆発の原因の一つとされる「インド型」と呼ばれる別の変異ウイルスの警戒度を、N501Y変異のある英国型などと同等に引き上げた。
インド型は、感染力が従来型より高く、ワクチンや治療薬の効き目を弱める可能性が指摘されている。10日時点で空港検疫などで計70人から見つかっている。
厚労省はこの変異を対象にした抽出検査を始め、全国で監視体制を強化する。