挑戦者の同級11位高山勝成(37=寝屋川石田)が不可解なストップ負けで2階級制覇を逃した。

同級王者エルウィン・ソト(24=メキシコ)に挑戦。9回、大きなダメージも見られない中、レフェリーが突然ストップをかけTKO負けとなった。高山は試合続行可能をアピールするようにシャドーボクシングを披露。「驚きました」と話し、今後の現役続行を示唆した。

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謎のストップだった。9回、挑戦者の高山は王者ソトと打ち合った。それまでもダウンはない。大きなダメージは見られなかったがレフェリーが突然、高山を抱きかかえて試合を止めた。「スタミナも十分残し、ダメージも少ない中、思わぬところでレフェリーストップとなり驚きました」。試合後、高山のコメントがすべてを表現していた。

確かに試合の流れは王者だった。高山は1回から強打でグラつかされたが、手数で抵抗。最後の勝負をかけるところで、予想さえしないレフェリーストップ。ダメージのなさ、まだ戦える意思表示のように激しいシャドーボクシングを披露。「ソト選手のパンチは芯を外していました。そのことを示すために行った試合終了後のシャドーボクシングに対する観客の大声援に感謝します」と言った。

ミニマム級で主要4団体を制した。日本ボクシングコミッション(JBC)を脱退し、当時非公認だったIBFの世界タイトルに挑み、アマチュアに転向。かなわなかったが、東京五輪を目指した。根底には常に反骨と改革がある。昨年、37歳の誕生日を迎えた際も「年齢の壁を越えてもやれることを証明したいとか、そういう思いはあまりない。ただ自分が成し遂げたい。あと1、2年と思っているので、たどり着けるところまでやっていきたい」と言った。限界を設けない。自分への挑戦だった。

今月12日に38歳となる。2階級制覇の目標を遂げて引退も示唆していたが、この日の試合後は「次戦につなげたい」。不完全燃焼の挑戦失敗を次の戦いへの闘志に変えた。【実藤健一】

◆高山勝成(たかやま・かつなり) 1983年(昭58)5月12日、大阪市生まれ。00年10月プロデビュー。05年4月、WBC世界ミニマム級王座獲得。06年11月、WBA世界同級暫定王座。10年9月にIBF、16年8月にWBO王座を獲得し、同級主要4団体を制す。17年4月にプロを引退し、アマチュアで東京五輪を目指す。19年8月、予選で敗れて五輪の夢が断たれる。20年3月にプロ復帰を表明し、同年12月に再起戦で勝利。身長158センチの右ボクサーファイター。32勝(12KO)9敗1無効試合。