スコットランド議会選、与党SNPが「歴史的」勝利 独立めぐる住民投票に期待も

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画像説明, 与党・スコットランド国民党(SNP)党首のニコラ・スタージョン第一首相

6日に行われたスコットランド議会選の開票が8日に終わり、与党・スコットランド国民党(SNP)が4期連続で第一党となった。党首のニコラ・スタージョン第一首相は、「歴史的かつ素晴らしい」勝利だったと述べた。

全議席が確定し、SNPは64議席を獲得。2016年の前回選挙から1議席伸ばしたものの、単独過半数の65議席には届かなかった。

このほか、保守党は31議席、労働党22議席、スコットランド緑の党8議席、自由民主党4議席となった。

スタージョン氏は、まずはスコットランドを新型コロナウイルスのパンデミックから脱却させることが優先課題だと説明。

一方、パンデミックの終息後には、イギリスからの独立をめぐる住民投票を実施したい考えを改めて示した。

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スタージョン第一首相は、SNPはスコットランド議会史上、最多の選挙区で議席を獲得し、得票数でも過去最高を記録したと述べた。

その上で、「もちろん、この(新型ウイルスの)危機が去った後は、スコットランドの人々に未来を選ぶ権利が与えられる。どれも私が約束したこと、私が実現しようとしていることだ」と強調した。

スタージョン氏は、今回の選挙を受けて、独立をめぐる住民投票は「スコットランド全体の意志」になったと強調。ボリス・ジョンソン英首相を含むどんな人物にも、この住民投票を阻止する民主的な正当性はないと述べた。

一方のジョンソン首相は8日、英紙デイリー・テレグラフの取材で、現段階で住民投票を行うのは「無謀で無責任」だと批判した。

ジョンソン氏は、「スコットランド議会選を注意深く見守っていたが、SNPは住民投票の発想から遠ざかっている印象を受けたし、とても賢い選択だと思った」と説明。政治的混乱よりも、一丸となって経済を復興することを住民は求めているだろうと語った。

この日の夜に発表したスタージョン氏宛ての書簡でも、「我々は常に同じ意見だったわけではないが(中略)我々が仕える国民のためにより良い関係を改めて築けると信じている」と述べた。

スコットランドの独立をめぐる動き

スコットランドでは2014年、イギリスからの独立を問う住民投票で、55%対45%で残留が上回り、イギリスに残ると決めた。

しかしその後、2016年の国民投票でイギリスの欧州連合(EU)離脱が決まったことから、スタージョン氏は2度目の住民投票が必要だと主張していた。スコットランドではEU残留派が多数だった。

2019年には、総選挙でSNPが議席数を伸ばしたことを受け、スタージョン第一首相がスコットランド議会に住民投票を行う権限を譲るようイギリス政府に正式に要請したものの、ジョンソン首相がこれを拒否した経緯がある。

SNPは今後も、独立をめぐる住民投票の関連法案を推し進めていく方針。

スタージョン首相は、イギリス政府が住民投票を妨害した場合には法廷で争う考えを示している一方で、違法な投票は行わないと約束している。

また、住民投票を行ってもイギリス政府や国際社会の承認を得るわけではないため、直接の独立にはつながらないこと、すべてはパンデミックが終息してから行う予定だということを強調している。

スコットランドの独立について、世論調査では賛否が真っ二つに分かれている。