東南アジアで唯一、というか現時点ではおそらく世界でフィリピンだけではないだろうか、戒厳令が布告されているのは。そのフィリピンで2017年5月25日以来続く南部ミンダナオ島全域に出されている戒厳令について、今年末の期限切れを前にさらに延長するべきか、終了するべきかの議論が高まっている。
9月21日はフィリピン国民にとって忘れることのできない歴史的な日である。1972年9月21日、時のマルコス大統領が反政府運動の高まりや共産党系の新人民軍によるテロなどで国内の政情が不安定化していることを理由にフィリピン全土に戒厳令を発布した。その悪夢の「マルコス戒厳令」にちなむ9月21日、フィリピンではマルコス時代に弾圧を受けた活動家や行方不明となった家族らによる集会が開かれ、「暗黒時代を忘れるな」「悪夢を繰り返すな」と訴えた。 レニ・ロブレド副大統領は21日声明を発表し「マルコス時代の暗黒の日々を忘れてはならない。マルコス時代を知らない若い世代は戒厳令が単に政治的なものでなく、国民生活の隅々まで大きな影響を与えるものであることを学び、そうした悪夢の復活を許してはならない」と国民に呼びかけた。地元紙「フィリピン・スター」によると、ドゥテルテ大統領は7月に年末に期限切れを迎えるミンダナオ島の戒厳令について「地元が延長を望むのであればさらなる延長もありうる」との立場を表明したという。
その地元ミンダナオでは「戒厳令で治安情勢は安定している」として延長を望む声が多いとされている。さらに国家安全保障アドバイザーのヘルモン・エスペロン氏も同紙に対して「テロとの戦いのためにも戒厳令延長は必要だと大統領に進言する」との立場を表明している。
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