上野由岐子北京金413球から13年、伝説第2章へ「ソフト人生ぶつける」 - 野球・ソフトボール - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ

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上野由岐子北京金413球から13年、伝説第2章へ「ソフト人生ぶつける」 ソフトボール 上野由岐子 Tokyo2020 東京2020

新型コロナウイルスの感染拡大で史上初の1年延期となった東京オリンピック(五輪)が21日、「上野の1球」で始まった。全競技を通じた“開幕戦”の舞台に、3大会ぶりに実施競技となったソフトボールの上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)がオーストラリア戦の先発マウンドに立ち、勝利投手となった。08年北京五輪では伝説となった「上野の413球」で金メダルを獲得。22日で39歳となるレジェンドが、無観客開催となった逆風の祭典で13年ぶりの頂点を目指す。空白の13年。募り募った思いが凝縮された85球だった。2日間を1人で投げ抜き、伝説となった北京五輪の決勝から4717日。また上野は五輪の舞台に立っていた。「このマウンドに立つために取り組んできた。試合前はワクワク感しかなかった」。東京五輪開幕を告げる1次リーグ初戦の対オーストラリア。その1球目は外角に外れた。

初回はコースを狙いすぎ、1死一、二塁から連続死球で1点を失った。「もっと大胆に」と開き直ってからは本来の姿を取り戻した。4回1/3を投げ、2安打1失点で7三振を奪った。8-1で5回コールド勝ち。勢いを生む開幕戦の白星を呼び込んだ。あの北京の後。次の五輪からソフトボールは消え、次の目標を失った。燃え尽き症候群。何げない時にも選手としての限界を思った。ふと漏らした事がある。 「ソフトボーラーとして完結しているなと思う時がある。北京で泣いて以来、涙もろくなった。前はドラマとか見ても泣けなかったが、最近は高校野球とか見ても頑張っている感を感じて泣けてくる。昔は泣くことがタブーというか、弱さを見せたくなかったが、人の話で感動することが多くなった」やる意味を模索し、去就に悩んだ。そんな時、宇津木麗華監督から「続けることに意味がある」との言葉をかけられた。もはや上野は唯一無二の存在。投げているだけで、現役でいるだけで、大きな意味がある。「選手としてはこれ以上はない」と思っても、全てを背負い、受け入れると決めた。苦手だった後輩指導も積極的に担うようになった。14年春には左膝を痛めて引退も覚悟した。それでもソフトボールのため、五輪復活のためにと前を向き、ここまで突き進んできた。

宇津木監督からは「上野がいて、初めて優勝という夢がかなう」と託された。期待される金メダルは「使命」。24年パリ五輪では再びソフトボールは実施競技ではなくなるだけに、今回にかける思いは強い。「悔いのないように。ここまで積み重ねてきたソフトボール人生をぶつけて戦っていきたい」。伝説の第2章が始まった。【上田悠太】◆08年8月 北京五輪の準決勝の米国戦を延長9回、続く決勝進出決定戦のオーストラリア戦を延長12回完投。米国との再戦となった翌日の決勝でも7回を投げ抜き、計413球の熱投で金メダル。

 

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