逆境に強い大人になろう-。こどもの日に、巨人が広島相手にたくましい戦いぶりを見せた。

原辰徳監督(62)は前日1得点の打線を改造。3番に上げたウィーラーが14試合連続安打で先制点を演出すれば、5番起用の中島が先制犠飛にダメ押し点をアシスト。6番の丸も追加点を呼び込む好走塁と好守備。投手陣もデラロサとビエイラの守護神候補が不在でストッパー中川も休養でベンチ外の中、今季2度目の無失点リレーを決めた。鯉の季節に、総力戦で逆風をはねのけた。

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目を細めた理由は日差しのせいだけではなかった。原監督は頼もしそうなまなざしで選手を出迎えた。新外国人スモークと救援陣の柱の中川を休ませた一戦で、ベンチに残っていたのは6人。スローガンの「ワンチーム」を体現する1勝に「それぞれが(仕事をした)というところはありますね」と、うなずいた。

上昇ムードの打線を組み替えた。広島先発が左腕ということもあり、3番の丸と6番のウィーラーを入れ替え、新外国人のスモークを休ませて中島を5番で起用。「試行錯誤しながら、最善策とはなんぞや、というところですね」と現状に満足せずに変化を選んだ。

信念がある。「強い逆風で力を出せる人か、順風でしか力が出せない人なのかはね、人間の価値になるよね」。起用された選手は期待が大きい分、重圧も増す。外国人枠の競争が続くウィーラー、ベテランの勝負強さを要求される中島、本来の力を求められる丸。各自が受けるのは心地よい追い風だけではなかった。

選手はたくましかった。4回にはウィーラーが右中間二塁打で好機を演出。1死後に中島が「ボールを見すぎず、しっかり打ちにいこう」と先制犠飛。7回2死では一塁走者の丸が炭谷の飛球にも全力疾走を怠らず、中堅が目測を誤った間に生還(記録は安打)。9回は無死二塁から中島が右前打でつなぎ、2死二、三塁から代打亀井が2点適時二塁打。投手陣も守護神不在の中、継投でしのいだ。期待通りの働きぶりに、原監督は「(中島は)進塁打の(意識がある)中で安打を打って、カメちゃん(亀井)も2死から非常に大きかったですね。2点目もね。(投手は)それぞれ役割を持たせて、全うしてくれた」と、うなずいた。

コロナ禍で迎えたこどもの日。かつての野球少年が全国に懸命な姿と勝利を届けた。現代の少年少女たちへ、原監督は「やっぱり夢や思うことや願うことは、とても大事な気がします。見つけられている人はそれを頑張ってもらいたいね。まだ見つけられていない人は、見つけるっていう気持ちは持っておく必要があると思う」と温かい言葉を贈った。果たすべき夢、思い、願いを胸に、失敗を恐れず鍛錬を積みながら虎の尻尾を追う。【浜本卓也】

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