米GDP、3四半期連続のプラス成長…過熱・高インフレに懸念も

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 【ワシントン=山内竜介】米商務省が29日発表した2021年1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は、年率換算で前期比6・4%増だった。バイデン政権の大型財政出動や新型コロナウイルスのワクチン接種の進展で、3四半期連続のプラス成長になった。米経済は過熱感への警戒も出ている。

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 ■現金給付

 実質GDPの実額は年率換算で約19兆ドル(約2000兆円)と、コロナ禍前の19年10~12月期の約99%の水準まで回復した。

 GDPの約7割を占める個人消費は10・7%増だった。3月中旬から8割超の世帯を対象にした1人あたり最大1400ドル(約15万円)の現金給付が始まり、3月の小売り売上高は前月から9・8%も上昇した。

屋外席で食事を楽しむ人たち。米個人消費は急回復している(24日、米メリーランド州で)=山内竜介撮影
屋外席で食事を楽しむ人たち。米個人消費は急回復している(24日、米メリーランド州で)=山内竜介撮影

 家族3人で計4200ドルの給付金となるミズーリ州の介護業エンジェル・オーネラスさん(22)は、滞納していた家賃を支払い、残りは幼い子どもが欲しがる食品などの購入に充てるという。「生活にストレスを感じなくなり、家計を確実に助けてくれた」と話す。

 製造業も、世界的な半導体不足などの逆風の中、回復傾向をたどる。全米供給管理協会(ISM)が集計した3月の製造業景況指数は、37年ぶりの高水準となった。米景気は当面、回復基調が続くとの見方が多い。

 ■雇用改善遅れ

 国際通貨基金(IMF)は4月、21年の米成長率が6・4%になるとの見通しを示し、1月時点(5・1%)より1・3ポイント上方修正した。昨年10月時点(3・1%)よりは3・3ポイントも高い。世界経済は「米国と中国の二つのエンジン」(ゲオルギエバ専務理事)がけん引している状況だ。

 バイデン政権は本格的な経済再建を目指し、インフラ投資や育児・教育支援拡大など総額4兆ドル規模の長期的な成長戦略を議会に提案している。相次ぐ大型財政出動には、「景気が過熱し、高インフレを招きかねない」(元IMFチーフエコノミストのオリビエ・ブランシャール氏)といった声も少なくない。

 雇用情勢の改善が遅れているため、連邦準備制度理事会(FRB)は、大規模な金融緩和を当面続ける方針だ。パウエル議長は28日の記者会見で、「サービス業で働く低賃金労働者や黒人などの失業率の高さは深刻だ」と述べた。

 財政出動と金融緩和で景気が刺激され、金利上昇に弾みがつけば、ドル高が進み、新興国からの資金流出など世界の金融市場の波乱要因になりかねない。

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2020596 0 経済 2021/04/29 22:15:00 2021/04/30 02:45:33 2021/04/30 02:45:33 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/04/20210429-OYT1I50110-T.jpg?type=thumbnail

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