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障害や病気でマスクを着けられない人への理解と配慮を促そうと、神奈川県藤沢市は「マスクをつけられません。ご理解をお願いします」と書かれたキーホルダーを無料で配布している。
直径約3・5センチの円形のキーホルダーは、中央部に市のマスコットキャラクター「ふじキュン☆」がマスクを外す様子が描かれている。1000個作成し、市役所障がい者支援課や市民センター窓口などで配布している。個人情報に配慮し、マスクをつけられない理由や氏名、住所は尋ねない。
市はこれまで、本庁舎入り口や図書館などに貼り紙をし、病気や障害などが原因でマスクを着用できない人への理解を求めてきた。今回は、着用できない本人にキーホルダーを持ち歩いてもらうことで、周囲の理解を促す狙いだ。
キーホルダー作成のきっかけは、昨年12月に市に届いたメール。「入り口にマスク着用をお願いしますと貼っているが、マスクは人によっては大変な苦痛を強いていることをわかってほしい」とあり、職員が対応を協議したという。
東北福祉大の阿部一彦教授(障害福祉学)は「呼吸器系疾患や知的障害、発達障害などが原因でマスクを着用できない人もおり、社会全体の理解と配慮が必要だ」と話す。一方で「キーホルダーを持つ人も周囲との距離を保つなど工夫が大切。藤沢市の取り組みが他の自治体にも広がり、理解と配慮を考えるきっかけになってほしい」と期待していた。