クレディ最終赤字300億円 1~3月、アルケゴスで損失
【ロンドン=篠崎健太】スイス金融大手クレディ・スイス・グループが22日発表した2021年1~3月期決算は、最終損益が2億5200万スイスフラン(約300億円)の赤字だった。米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引関連とみられる44億スイスフランの損失が発生した。
前年同期は13億1400万スイスフランの黒字で、1~3月期での最終赤字は16年以来5年ぶり。
赤字の原因は、売買の執行や貸し付けなどのサービスの提供先だったアルケゴスの株式運用の失敗だ。複数の金融機関から追加の保証金差し入れを求められたが履行できず、一部の金融機関が保有株の強制売却に動いた。クレディは回収に出遅れ、債務不履行に陥った同社向けの債権に損失が出た。
関連の持ち高については97%の処分を終えたという。4~6月期に追加で6億スイスフランの損失が生じるとの見通しを示した。
アルケゴス関連とみられる取引では米モルガン・スタンレーが1~3月期に総額9億1100万ドル(約980億円)の損失を計上し、野村ホールディングスも20億ドル規模の損失見通しを明らかにしている。クレディの損失は取引金融機関で最大とみられる。
3月には英金融会社グリーンシル・キャピタルと組んで運用していたファンドも閉鎖に追い込まれた。ずさんなリスク管理が立て続けに露呈し、経営の混乱が深まっている。
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