ミャンマーで邦人記者拘束　軍政批判、自宅から連行

【ヤンゴン=共同】国軍がクーデターで全権を握ったミャンマーで18日夜、同国在住のフリージャーナリスト北角裕樹さん（45）が最大都市ヤンゴンの自宅で治安当局に拘束された。在ミャンマー日本大使館が19日確認した。北角さんは連行後、刑務所に移送された。2月26日にもデモ取材中に拘束されたが、その日のうちに解放されていた。

拘束の具体的な理由は不明。北角さんはクーデターに抗議するデモの取材を続け、SNS（交流サイト）で情報を発信し、日本のメディアにも寄稿していた。移送されたのはヤンゴン市内のインセイン刑務所で、政治犯が多く収容されている。拘束が長引く可能性がある。

菅義偉首相は19日、「邦人保護に万全を尽くす」と記者団に述べた。外務省幹部は、国軍側に拘束の理由やけがの有無などを確認するとともに、解放を働き掛けていると明らかにした。

国軍は2月1日のクーデター以降、外国人記者を含めジャーナリストを相次いで拘束し、メディアに対する免許剝奪などで言論弾圧を強化。インターネットの利用も大幅に制限している。

日本大使館によると、北角さんは4月18日午後7時50分（日本時間同10時20分）ごろ、自宅兼事務所にいたところを拘束された。SNS上では、治安当局が家宅捜索して段ボール箱を持ち出したり、北角さんに両手を上げさせてひざまずかせたりしたとの目撃者情報が投稿されている。

北角さんは元日本経済新聞記者。ミャンマーに移り住み、日本語情報誌の編集長を経て、フリーで活動していた。