フィリップ殿下の葬儀は17日に、国内で黙とうへ=英王室
英王室は10日、エディンバラ公爵フィリップ殿下の葬儀を17日午後3時(日本時間同11時)から、ウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で執り行ない、その冒頭で全国的な1分間の黙祷(もくとう)を行うと発表した。葬儀日程の発表後、チャールズ皇太子が記者団を前に、父の死を自分たち家族と共に悲しんでくれたイギリスをはじめ、世界各地の人たちの思いに「深く感動した」と話した。
英王室によると、葬儀の手はずは、9日に亡くなったフィリップ殿下自身の意向を「大いに」反映したもので、新型コロナウイルス対策に沿ったものになっているという。
フィリップ殿下は、可能な限り地味で小規模な葬儀を希望していたとされている。
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イギリスは17日いっぱいまで8日間の喪に服する。葬儀はテレビ中継されるが、国葬の扱いにはならない。
フィリップ殿下の棺は公開安置されず、亡くなったウィンザー城内の家族の礼拝堂に安置される。棺は公爵の紋章旗で覆われ、花輪が上に置かれる。
王室関係者は2週間の喪に服すが、公務は適宜、継続する。
王室の居宅などでは半旗の掲揚が続くが、エリザベス女王の居場所を示す王旗は引き続き、旗棹(さお)の最上部で掲げられる。
政府庁舎は葬儀翌日の午前8時まで、半旗を掲げる予定。
新型コロナウイルス対策のため、政府は国民に葬儀に参加しないよう呼びかけており、王室も国内各地の王室の居宅に花束などを供えないよう求めている。
王室の公式サイトは、弔問の献花をする代わりに慈善団体への寄付を検討して欲しいと呼びかけるほか、オンライン芳名帳を用意している。
参列者は30人に限定
バッキンガム宮殿の報道官は、「悲しみと追悼の時ではありながら、今後数日間は素晴らしい人生を祝う機会にもなる」と述べた。
葬儀の参列者は、近親者30人に限られる予定。
殿下の棺は当日、ウィンザー城内の家族の礼拝堂から正面玄関に運ばれた後、殿下自ら設計に関わったランドローバーに載せられ、8分間をかけて敷地内の聖ジョージ礼拝堂へ向かう。
チャールズ皇太子を先頭に王室関係者が棺の後ろを歩く。エリザベス女王は葬列とは別に、聖ジョージ礼拝堂へ移動する。
参列者は感染対策のため社会的距離を保ち、マスクを着ける。
アメリカで暮らすサセックス公爵ハリー王子も、葬儀に参列する。ただし、妻のサセックス公爵夫人メガン妃は第2子を妊娠中のため、飛行機で移動するべきでないという医師の助言に従い欠席する見通しと、王室報道官は説明した。
首相官邸は、「できるだけ多くの家族が参列できるよう」、ボリス・ジョンソン首相は参列しないと明らかにした。
葬儀の後、フィリップ殿下の棺は礼拝堂の王墓に納められる。
「大切なパパ」
葬儀の予定が発表された後、チャールズ皇太子は報道陣を前に、「大切なパパ」について語った。
英南西部グロスタシャーの居宅ハイグローヴで皇太子は、父フィリップ殿下が「女王と、私の家族と、国と英連邦全体に、実に見事に、献身的に奉仕した」と振り返り、その「大切なパパ」がいなくなったことを自分と一族が「とんでもなく」寂しく思っていると話した。
皇太子はさらに、イギリスをはじめ英連邦各国や世界各地から多くの人が「私たちの喪失と悲しみ」を共有してくれたことに、王室の全員が「深く感動」していると述べた。
チャールズ皇太子は、「大切なパパ」は「とても特別な人」で、「自分についてこれほど反応があり、これほど胸を打つ言葉を大勢が寄せてくれたことに、父はなにより驚いたはず」だと話した。さらに、自分たち家族は世界各地からの弔意に「深く感謝」しているとして、「特に悲しいこの時、この喪失の最中に、皆さんの思いが私たちを支えてくれる」と述べた。
フィリップ殿下が9日に亡くなって以降、皇太子やアンドリュー王子、エドワード王子など家族が次々とウィンザー城にいる母エリザベス女王を見舞っている。