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日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(66)(会社法違反などで起訴)が保釈中にレバノンに逃亡した事件で、東京地検特捜部は2日、逃亡を手助けしたとされる米国籍の親子2人について米国側から身柄の引き渡しを受け、犯人隠避容疑で逮捕した。2人は米ボストンから同日夕に日本に着く航空機で移送され、その後東京・小菅の東京拘置所に移される見通しで、特捜部は逃亡劇の解明を図る。
2人は、米陸軍特殊部隊「グリーンベレー」元隊員・マイケル・テイラー(60)と息子のピーター・テイラー(28)の両容疑者。2人は2019年12月29日、米国籍のジョージ・ザイェク容疑者(61)とともに、ゴーン被告が関西空港からプライベートジェット(PJ)で不法出国するのを手助けした疑いがもたれている。
これまでの地検の発表や米当局が連邦裁判所に提出した資料によると、ピーター容疑者は19年7~12月上旬に少なくとも3回来日。ゴーン被告の弁護人だった弘中惇一郎弁護士の事務所などでゴーン被告と面会したほか、同年12月28日にも来日し、都内のホテルでゴーン被告と会っていたとされる。
マイケル、ザイェクの両容疑者は翌29日にPJで来日した。ゴーン被告を東京から大阪まで護衛しながら案内するなどし、被告が隠れた箱をPJに積み込み、自分たちも同乗して経由地のトルコへ向かったとみられる。ゴーン被告は同月31日、レバノンに入国したことが判明。特捜部は昨年1月30日、ゴーン被告について入管難民法違反(不法出国)容疑で、テイラー親子ら3容疑者についても犯人隠避と同法違反(不法出国)ほう助の両容疑で逮捕状を取得した。
親子は被告の逃亡を手助けした後、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイから米国に帰国。同5月、米当局が日米犯罪人引き渡し条約に基づいて逮捕した。
日本側からの身柄引き渡し請求を受け、マサチューセッツ州の連邦裁判所は同9月、引き渡しは可能と判断し、米国務省も同10月に引き渡しを承認。2人の弁護側は連邦地裁に移送の差し止めを申し立てたが、今年1月に地裁が申し立てを棄却し、控訴裁、最高裁も地裁の決定を支持した。一方、ザイェク容疑者の行方は分かっておらず、特捜部は情報収集を続けている。