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韓国の主要紙「ハンギョレ新聞」元記者で、駐大阪韓国総領事の
新聞記者時代に東京特派員も経験した呉さんは、2018年4月に総領事に就任したが、総領事館の仕事ぶりが在日韓国人にも日本人にもあまり知られていないと感じたという。
「30年余りの記者経験を生かして情報発信し、日韓関係を好転させるために働いていることを知ってもらいたい」。着任間もなくフェイスブックでの投稿を始め、投稿数は昨夏までに約200本に達した。投稿を見た周囲の勧めで、昨年11月に「総領事日記 関西で深める韓日交流」(226ページ、税抜き1800円、東方出版)として出版した。
「総領事日記」の中では、大学や企業、メディアなどとの交流や、日韓関係の展望を語る講演会など総領事としての仕事だけでなく、日々の生活の中で感じた街の印象なども紹介する。
関西は多くの在日韓国人が住むなど韓国との交流が盛んな地域で、「大阪に住んでみて韓国への親しみがあると感じた」と言う。著書でも、大阪市生野区のコリアタウンについて言及。「愛の不時着」などの韓国ドラマ人気で訪れる年齢層の幅が広がったことなど地元の人が感じた最近の変化を紹介した。「本当に貴重な宝」「韓日交流の名所としてさらに成長することを期待」などともつづった。
一方で、関西には日韓の不幸な歴史に関わる場所も少なくない。
豊臣秀吉が朝鮮半島に出兵した「文禄・慶長の役」(1592~98年)で犠牲になった朝鮮人の耳などが納められた京都の「耳塚」で開かれた慰霊祭に参加したほか、戦時中にハングルで詩を書いたとして治安維持法違反容疑で逮捕され、獄中死した詩人・
「悲しい歴史を繰り返さないという気持ちを共有したい」との思いから、そうした場所を訪問するたびに投稿してきた。日韓関係が正常化に向かうかどうかは依然として不透明だが、「民間の交流をさらに進めることで、国同士の関係にも良い影響を与えるのではないか」と期待する。