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【モスクワ=田村雄】ロシアの独立系人権団体は24日、反プーチン政権運動指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の拘束に反対して23日に実施された抗議行動について、拘束者数が全国約120都市で計約3600人に上ったと発表した。ナワリヌイ氏側は30日も抗議行動を実施するように呼びかけており、政権側との対立は長期化しそうだ。
プーチン大統領が2000年に実権を握って以降、抗議デモなどでの1日あたりの拘束者数としては最大規模とみられる。23日のデモ参加者は全土で計11万人超だったとの推計もある。
拘束者数が1424人と最多だったモスクワでは23日夜、一部のデモ参加者が、ナワリヌイ氏が拘束されている刑務所付近にも押し寄せた。ナワリヌイ氏の妻は23日夕に釈放された。
プーチン政権はナワリヌイ氏を、「クレムリンの中央監獄」との異名を持つ刑務所で拘束を続け、厳重な監視下に置いている。旧ソ連時代から政治犯を収容してきた施設で、連邦保安局(FSB)の監視下に置かれているとみられている。FSBは昨年8月のナワリヌイ氏の毒物襲撃事件への関与が取りざたされる情報機関だ。当局は18日に刑務所に移送した後、「技術的な問題」を理由に外部との接触を厳しく制限した。
プーチン政権は、抗議行動が全国的な広がりを見せ、拘束者数も過去最大規模となっている事態に強い危機感を抱いている。ナワリヌイ氏と外部との連絡手段を制限することで、デモ参加者への影響力を遮断し、抗議行動の封じ込めにつなげる狙いとみられる。
ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は24日、国営テレビに対し、抗議行動について「参加者は少なかった。多くの人々がプーチン氏を支持している」と述べ、抗議行動の広がりを否定して見せた。
それでもナワリヌイ氏は22日、接見した弁護士を通じ自身のインスタグラムを更新し、「精神状態は安定している」と健在ぶりをアピールしている。
ナワリヌイ氏は14年に受けた刑事事件の確定判決に絡み、執行猶予の条件を満たしていないとの理由で2月15日までの拘束が決まっている。