【独自】水虫薬の製造に「裏手順書」…小林化工で十数年前から

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 製薬会社「小林化工」(福井県あわら市)が製造した爪水虫などの治療薬に睡眠導入剤の成分が混入した問題で、この薬について国の承認とは異なる製造手順を記した「裏手順書」が十数年前から製造現場で使われていたことが、関係者への取材でわかった。県は違法な手順による製造が常態化し、健康被害につながった事態を重く見て、医薬品医療機器法に基づき、同社に対し業務停止命令を出す方向で検討している。

 県は今月中にも同社に処分の方針を伝える。弁明の機会を設け、来月中旬にも正式に処分する。厚生労働省によると、同法に基づく製薬会社への業務停止命令は、2016年に国の承認外の方法で血液製剤などを製造した熊本市の「化学および血清療法研究所(化血研)」に出された110日間が最長で、県はこれと同程度の処分とする考えだ。

 睡眠導入剤成分が混入したのは、04年7月に販売が開始された「イトラコナゾール錠50『MEEK』」。関係者によると、国が承認した手順書では、薬の主成分を全て1回で入れることになっているが、「裏手順書」では2度に分けて入れると記載されていた。錠剤を固まりやすくするためとみられ、製造現場で十数年前から採用されていたという。

 問題の薬では、従業員が主成分を2度目に入れようとして、睡眠導入剤成分と取り違えていた。主成分と睡眠導入剤成分は、同じ棚の上下に並べて置かれていた。社内規定では2人1組でチェックすることになっていたが、守られず、出荷前のサンプル検査で異物混入の可能性を示すデータを検出しながら、見逃していた。

 県は同社に対し、年に2~4回程度の立ち入り調査を行ってきたが、その際は国が承認した正規の手順書のみが示されていた。

 問題の薬は20年夏に製造され、約9万錠が出荷された。服用した患者324人の6割超の214人が意識消失などの健康被害を訴えた。このうち2人が死亡し、意識を失うなどして22人が交通事故を起こしている。

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