グーグル、仏メディアに記事使用料支払いへ
【パリ=白石透冴】米アルファベット傘下のグーグルは21日、同社サービスでニュース記事を表示する場合に、使用料を支払うことでフランス報道各社と合意したと発表した。仏競争当局が2020年、両者で協議するよう求めていた。
グーグルと仏各社が共同で出した発表文書によると、各社は個別にグーグルと交渉し、金額などの条件を決める。条件はメディアの発行部数やサイトの月間閲覧数などを基に決めるという。
合意が得られた場合、該当する報道機関の記事は「グーグル・ニュース・ショーケース」への「アクセスを得る」としている。グーグルが20年に始めたサービスで、報道機関に使用料を払って入手した記事を、アプリなどで無料で読めるようにする仕組みだ。フランスでも有力紙ルモンドなど一部の報道機関が既に参加している。
発表は、グーグルが検索エンジンの検索結果として記事を表示する場合にも使用料を払うかなどの詳細には触れていない。仏紙フィガロ幹部は記事の中で「包括的でしっかりした素晴らしい合意だ」と語っている。
欧州連合(EU)の閣僚理事会は19年、著作権法の改正案を採択した。「プラットフォーマー」と呼ばれるIT(情報技術)大手がニュース記事を載せる場合に、公平な使用料をメディアに支払うことを義務付けた。
フランスはEUの決定を受けて、同年に改正著作権法を施行した。グーグルがその後も支払いに応じなかったため、仏競争当局は20年4月、「グーグルは優越的な地位を乱用し、報道機関の収益を奪っている」と指摘して話し合いを求めていた。
IT大手に対しては、報道機関が経費をかけて作った記事を無料で使い、自社サイトの価値を高めているとの指摘が出ている。
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