上海の空港職員にウイルス検査、1万6000人殺到で大混乱か

Workers in protective suits are seen at a makeshift nucleic acid testing site inside carpark at Shanghai Pudong International Airport

画像提供, Reuters

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中国・上海の浦東国際空港で22日、防護服姿の当局者がウイルス検査を実施した

中国・上海の浦東国際空港で22日、空港関連職員に対する大規模な新型コロナウイルス検査が実施された。当局は整然と順番待ちをする人々の写真を公開したが、ネット上には職員が大声を上げたり押し合いになったりし、現場が大混乱になったことを示す動画などが投稿された。

当局はこの日、貨物担当スタッフ全員のウイルス検査を求めた。

公開された公式写真では、整然と落ち着いた様子で検査が進められているように見える。

しかし複数の動画では、防護服姿の当局者たちが大声を上げる群衆を限られたスペースに集める様子が確認できる。

こうした動画の多くはその後削除された。国営メディアは混乱については一切触れず、一晩で1万6000人以上が検査を受けたとだけ伝えた。

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中国国営の英字紙「環球時報(グローバルタイムズ)」によると、空港の貨物担当者数人と濃厚接触者数人がウイルス検査で陽性と判定されたことを受け、22日午後に大規模なウイルス検査が始まったという。

上海では9日から少なくとも7人の感染が報告されており、その多くは同空港関連だ。同市では5カ月間もの間、感染が確認されていなかったという。

同紙が掲載した写真には、空港の立体駐車場の中に整然と列をつくって並ぶ人々が写っている。

しかし、中国のソーシャルメディア「微博(ウェイボ)」には、あまりに多くの職員が一カ所に流れ込み、混乱状態に陥ったとする写真が投稿された。

ある動画には、全身防護服姿の人物がマスクを着けた職員を駐車場に集め、群衆が叫んだり押し合ったりしている様子が映っている。

こうした動画は23日朝までに全て削除された。

中国国営新華社通信によると、貨物担当の職員には定期的な検査が実施され、感染リスクの高い仕事についている人はワクチン接種を受けることになるという。

中国で開発中のワクチンはまだ完全な承認を受けていないものの、医療従事者ら最前線で働く人々の一部にはすでに投与されている。

動画説明,

野生生物の取引めぐる中国のジレンマ 新型ウイルス拡大で禁止でも再開求める声

新型ウイルスのパンデミックは昨年末頃に中国国内で始まったが、同国は厳格なロックダウンを敷いて何とか感染を抑え込んだ。過去数カ月間は一部地域での小規模で散発的なアウトブレイクにとどまっていた。

大規模なウイルス検査は、中国政府があらゆるアウトブレイクの追跡に活用してきた方法の1つだ。5月には新型ウイルスの感染が初めて確認された武漢市の住民約1100万人を対象にウイルス検査が実施された。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、中国ではこれまでに9万2211人の感染と、4742人の死亡が確認されている(日本時間24日午後3時時点)。

中国は無症状者を公式の感染者数には含めていない。