お笑いコンビ爆笑問題の太田光(55)が1日、東京地裁で「日大芸術学部裏口入学報道裁判」の口頭弁論に初出廷した。日大芸術学部に裏口入学したと虚偽の記事を「週刊新潮」に掲載されたとし、新潮社に約3300万円の損害賠償と謝罪広告を求めて提訴していた。太田はボケを交えながらも「ひきょうな手で入ったと言われ、父親が暴力団にペコペコ頼んだと書かれて悔しい」と主張した。判決公判は12月21日。

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グレーのスリーピース姿の太田は、開廷前の写真撮影の際カメラを指さしたり「いいねポーズ」を作るボケを見せてから、約45分にわたって原告側、被告側の弁護士の尋問に答えた。

日大芸術学部入学について「幼い頃から映画、演劇の才能にたけていまして、言ってみれば天才ですよ。チャプリンに憧れて、日大芸術学部に入れればいいなと中学時代から思っていた。大学は人との出会いですよ。結局は(相方の)田中(裕二)くらいしか出会えなかったんですけど」と、太田らしく話した。

その後も、英語力について聞かれると「ア・リトル(少し)」と答えたり、記事中にあったホテルに関する話になった際「ラブホテルですか」と聞き返すなどボケ続けて、裁判長に「冗談です」と謝った。

その太田が真剣になったのが12年に亡くなった父三郎さん(享年83)が裏口入学のために暴力団関係者に頭を下げ、金を渡したと報じられたことについて。三郎さんが裏金を渡していたことを否定できるか問われた太田は「それは亡くなっているし、分からない」とした上で「なんとも言えないけど、暴力がきらいでプライドがある父親がヤクザにペコペコしてないと思う」。父の名刺が掲載されたことに「ああいう形でさらされたのは嫌だな。自分が有名なだけで、死んだおやじを傷つけて。新潮社さんは処女作(小説「マボロシの鳥」)を出してくれただけに悲しい」と話した。

そして「爆笑問題・太田光っていうタレントのイメージが分からないけど、なんでも正直にやってきた。それをひきょうな手で入ったと言われた。田中とも出会って、やってきた道のりの重要なポイント。それがインチキで、ましてや暴力団に父親が頼んだと。悔しい思いがある」とした。

その後、高校時代の担任と演劇部の顧問だった元恩師2人が登場すると、頭を下げてお礼。担任の尋問が終わると「ありがとうございました」と口にした。

途中、15分の休憩をはさんで計約4時間に及ぶ口頭弁論となった。太田の妻で所属事務所タイタンの太田光代社長は「(新潮社側から)聞きたいことが聞けていない。誰が(裏口入学と)言っているのか。何でも書いていいわけじゃない。『裏口入学ネットワーク』というものがあるというなら、それを追及して欲しい」とコメントした。

▼太田光日大芸術学部裏口入学報道裁判 週刊新潮が18年8月に「爆笑問題『太田光』を日大に裏口入学させた父の溺愛」と題した記事を掲載。太田が新潮社に約3300万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて提訴。同年10月に第1回の口頭弁論が行われ、その後は和解交渉が行われたが決裂していた。日大芸術学部は東京・江古田キャンパスに映画、演劇、放送、文芸、写真、音楽、美術、デザインの8学科で約3800人が在籍している。