NY市、公立校を全面再開 コロナ下で50万人が対面授業
【ニューヨーク=白岩ひおな】ニューヨーク市は1日、公立学校の対面授業を全面再開した。生徒の登校は新型コロナウイルスの感染拡大で休校措置が取られた3月以来、約半年ぶりだ。全米で最大規模の学区である同市で、公立の保育施設から高校まで約50万人規模の生徒が教室に戻った。
当初は9月10日の再開を予定していた。ただ、新型コロナの感染防止対策が十分でないと懸念する教員組合の抗議や教師の感染を受け、これまでに2度延期された。9月29日には大半の小学校が先行して授業を再開した。
米国で対面授業の全面再開に踏み切った大都市はまだ同市のみだが、今後は他の校区にも再開の動きが広がる可能性がある。大規模校区のフロリダ州マイアミ・デイド郡は5日に再開する計画だ。トランプ大統領は学校再開を経済活動の正常化に向けた柱と位置付ける。
ただ、感染の再拡大を警戒する保護者の間では、子どもを登校させることへの懸念が根強い。ニューヨーク市では対面とオンラインから授業を選べるようにし、48万人の生徒は全面再開後も遠隔学習を選択した。米国内には今夏にかけて感染者数の増加に直面し、対面授業への復帰を断念した校区も多い。
ニューヨーク市でもコロナ感染の再拡大の兆候がみられ、とくにブルックリンとクイーンズ地区で感染件数の増加が目立つ。同市では9月30日、新型コロナ検査の陽性率(7日移動平均)が1.46%に上昇した。29日は1.38%だった。デブラシオ市長は陽性率の7日移動平均が3%に達すれば、市内の学校を再び閉鎖する考えを明らかにした。
多くの子どもが一堂に会する学校という環境が、感染拡大につながりやすいとの指摘もある。プリンストン大などがインドで50万人超を対象に実施した追跡調査によると、子どもや若者はより効率的にウイルスを拡散する傾向があると確認された。対面授業の再開が感染者数にどう影響するか、教育関係者や保護者の注目が集まっている。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
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