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日本政府公式の新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」に感染者を抑える効果はあるか実際にシミュレーションした結果とは?


2020年6月19日に、厚生労働省がリリースした新型コロナウイルス接触確認アプリ「COVID-19 Contact-Confirming Application(COCOA)」が感染者数を削減する効果について、日本大学生産工学部がシミュレーションを行った研究の結果を発表しました。

2020.07.28 マネジメント工学科 大前佑斗先生らがCOCOA(接触確認アプリ)を利用したCOVID-19(コロナ)感染者数削減効果をシミュレーションにより明らかにしました | 日本大学生産工学部
http://www.cit.nihon-u.ac.jp/pickupnews/34247.html

接触確認アプリ「COCOA」は、スマートフォンのBluetooth機能を利用して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された人と接触した可能性についての通知を受け取れるようになるアプリです。機能の詳細やインストール方法などについては、以下の記事に詳しく書かれています。

日本政府公式の新型コロナ接触確認アプリ「COCOA」がリリース、実際にインストールするとこんな感じ - GIGAZINE


COCOAはリリースされてから日が浅いこともあり、実際にどの程度感染拡大を抑えることができるかはこれまで不明でした。そこで、日本大学生産工学部の大前佑斗助教らは、仮想的な社会を構築して多様な行動原理を持つ人々に生活を送らせるマルチエージェントシミュレーションにより、COCOAアプリがCOVID-19感染者数を削減させる効果を試算しました。

シミュレーションでは、会社員や学生などさまざまな立場の人々約1000人を生成し、そのうち10人がCOVID-19に感染したことを想定。仮想的な社会の中で会社に出勤する、学校に通学する、スーパーへ買い物に行くといった日常生活を1カ月間行わせました。そして、「COCOAアプリの利用率」と「アプリで感染者との接触を知った人が外出を控える度合」を20%刻みで変化させて、複数回シミュレーションを行いました。


その結果の表が以下。「アプリの利用率」か「感染者との接触を知った人が外出を控える度合」のどちらかもしくは両方が0%の場合、1カ月後の感染者数は10人から73人に膨れあがりました。一方、「アプリの利用率」と「外出を控える度合」の両方が40%の場合は、感染者数は38人となり、COCOAを使用しない場合と比べて感染者数が約半分に抑えられています。


また研究者らは、感染者数が73人の半分である36.5人以下となるのは、「アプリの利用率」と「外出を控える度合」がそれぞれ「80%/20%」「60%/40%」「40%/60%」以上のケースであることに着目。アプリの利用率が80%に達するのは現実ではない点を考慮して、「約半数の人々がアプリを利用し、感染者と接触したことを知った人が外出を半分にすることができれば、感染者数が半減する」と結論付けました。

日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野の權寧博主任教授は今回の研究結果について、「今回のシミュレーションで、追跡アプリの普及により、感染者数が減少することが明確に示されました。本アプリ(COCOA)が、濃厚接触した可能性を接触した本人に速やかに通知することで、接触者数を減少させることができます」とコメントしています。

Twitterには、COCOAを使用している人から、実際に「接触確認通知が来ました」との報告や……

接触確認アプリ COCOA、インストールしたところで陽性登録者が少なすぎて通知が来ることはないだろうと思ってたけど、接触確認通知が来ました。

周囲に感染者はいないので、可能性は電車かどこか。。インストール無意味じゃなかった。 pic.twitter.com/2amMtP6Vjt

— Mio M (@30_mio)


「会社にも説明して自宅待機できるし話が早い」との声が投稿されています。

1m以内15分以上接触があった場合のアプリから通知が来た!1000万DLされてるのに陽性登録者数が100人いないとかで通知が来ない事で有名なアレ。ちゃんと登録してくれた人がいるから会社にも説明して自宅待機できるし話が早い。陽性登録ちゃんとしてくれた人ありがとう!今日から家族皆で1週間引きこもる pic.twitter.com/A53KFIrRW3

— qtmjp (@qtmjp)


なお、厚生労働省の発表によると、8月5日時点におけるCOCOAの合計ダウンロード数は約1157万件とのこと。このダウンロード数は、一度端末から削除してから再度ダウンロードした人などを重複してカウントしているので、利用者数と同じとは限りませんが、2020年7月における日本の総人口1億2596万人中1157万人がアプリを使っていると仮定しても、アプリの利用率は約9.1%程度と、10%にも満たない計算になります。

そのため、今回の研究でCOCOAが大きな効果を発揮することが示された状況を達成するには、より多くの人がCOCOAを使用し、かつ通知を受けたらしっかりと外出を控えることが必要になります。

COCOAは以下から無料でインストール可能です。

新型コロナウイルス接触確認アプリ (日本厚生労働省公式) - プレビュー版 - Google Play のアプリ
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.go.mhlw.covid19radar


「新型コロナウイルス接触確認アプリ」をApp Storeで
https://apps.apple.com/jp/app/id1516764458

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in モバイル,   ソフトウェア,   サイエンス, Posted by log1l_ks

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