プロ野球 無症状の陽性者への対応に課題

西武との練習試合で2回、大城卓三の適時打で生還した中島宏之をエアタッチで出迎える巨人ベンチ。前列左から3人目が坂本勇人=2日、東京ドーム(中井誠撮影)
西武との練習試合で2回、大城卓三の適時打で生還した中島宏之をエアタッチで出迎える巨人ベンチ。前列左から3人目が坂本勇人=2日、東京ドーム(中井誠撮影)

 巨人の坂本勇人内野手(31)と大城卓三捕手(27)が、新型コロナウイルスのPCR検査で陽性を示したことが3日、判明した。同日午後に予定されていた西武との練習試合を急遽中止するなど、球団や日本野球機構(NPB)は対応に追われた。2人は新型コロナの遺伝子量が微量などとして、今後PCR検査で陰性が確認でき次第早期にチームへの合流を目指す方針だが、陽性者への対応では課題を残した。

 巨人の坂本ら2選手の新型コロナウイルス感染を受け、NPBの井原敦事務局長は「開幕には影響はないと現時点では考えている」と述べた。4日以降の練習試合の日程も現時点では変更予定はないという。

 しかし、今回の選手の感染発覚で、開幕までに早急に議論しなければならない課題が浮き彫りになった。

 一つは、感染者が出た場合の公式戦の続行可否の判断だ。Jリーグと連携して設置した「新型コロナウイルス対策連絡会議」の感染症に詳しい専門家チームによる提言では、感染者が出た場合でも濃厚接触者を自宅待機させた上で「チームは予定通りに練習、試合をする」とある。

 NPBはシーズン中に同様のケースが起きた場合の対応を8日の実行委員会で協議する予定で、井原事務局長は「開幕までには決めたい」としている。

 坂本、大城のような無症状の陽性者への対応にも課題が残る。今回のケースでは、専門家からは「他人に感染させるリスクは高くないと推察される」との見解を得たが、結果として2人がウイルスを持ったまま2日の練習試合に臨んだ事実は軽視できず、ルールの整備は不可欠だ。

 NPBが作成中のガイドラインでは、PCR検査で陽性となった場合、陰性確認後も14日間の自宅待機をする案が検討されている。2選手の陰性が確認され次第、チーム合流を想定する巨人の対応については踏み込んだ議論が必要だろう。

 井原事務局長は「ガイドラインは発症に伴うPCR検査。今回は不顕性感染(無症状)なので別」としており、両選手とも陰性が確認できればチームに合流できるという。

 とはいえ、感染リスクの懸念が少しでも残る場合、慎重な判断が求められる。(神田さやか)

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