手のひらVlog専用機。
「ソニーがVlog向けカメラを出すらしい」と噂されてから色々な憶測が飛び交っていましたが、ついに「Sony VLOGCAMZV-1 」が発表されました!
これまで、メーカーが発表時に「Vlog向け」と明言したカメラがあったでしょうか? 一体どんなところがVlog向けなのか?気になる! 気になりすぎて食事しか喉を通らない!という状態の人も多かったのでは。
バリアングルモニターやマイク周りなど、ハード的にVlogに傾倒しているのは噂の時点でわかっていたことですが、お借りした実機を触ってみて驚いたのはソフトのほう。中身もとてもわかりやすーくVlog向けだったんです。
ソニー ZV-1
これは何:1インチセンサー、24-70mm F1.8-2.8レンズ搭載のVlog向けコンデジ
価格:税抜 9万1000円 前後
発売日:2020年6月19日(金)
Vlogに必須なのはバリアングルと良いマイク
Vlog動画のほとんどは自撮りシーンが中心です。Vlogは「誰が」発信しているかがテーマの主軸にあるので、自身が出演する前提であることが多いです。
となれば必要なのは被写体のほうを向くモニター。ソニーのコンデジはこれまで、上方向にフリップするモニターを採用してきました。しかしZV-1は初めてバリアングルモニターを搭載しています。カメラの上からではなく横からモニターを見ることができるんです。
これに伴って、カメラ上部には大きな内蔵マイクとMIシューが設置されました。モフモフ(ウィンドスクリーン)の装着にはMIシューを使います。個人的にモフモフの毛がシューに挟まってしまうのが気になりました。というのも、MIシューの奥には純正アクセサリを接続するための端子があるんです。ここに毛が詰まって壊れないか心配...。
網状のマイクグリルの下には風低減スクリーン、さらにその下には小型の指向性3カプセルマイクが埋まっています。RX100シリーズなどの従来機に比べてやや前方の音声をしっかり捉える指向性があるとのこと。
内蔵マイクの音質をほかのマイクと比べてみました。外付けマイク「RODE Video Micro」に比べて環境音のノイズを拾ってしまっていますが、GH4の内蔵マイクと比べると音圧があり厚みのある声に聞こえます。
ぜったい商品にピントが合うモードがすごい
日常を動画にするVlogといえど、時には買った商品を紹介することもあります。自撮りでカメラに商品を向けて解説するわけですが、ピントが合わなかったり迷ってしまったりすることがしばしば。
ZV-1はそれを解決する「商品レビュー用設定」という機能があります。わ、わかりやすすぎる...。デフォルトで背面のC2ボタンに割り当てられていて、1発で呼び出すことができます。
オンにすると、商品を写しているときは必ず商品にピントが合い、商品を隠すと顔にピントが合います。この精度がすんごく気持ちいいです。カメラのAF史上一番気持ちいい。あまりに気持ちよくて無限に商品をカメラに向けてしまいます。
商品の後ろに手のひらをかざしてピントを合わせる必要はもうありません。これだけでZV-1が生まれた価値があるのではないでしょうか。
さらに背景のボケ感をワンタッチで切り替えられる「背景ボケ設定」が搭載されています。こちらはシャッターボタン隣のC1ボタンに割り当てられています。
初心者向けの機能に見えますが、内部ではF1.8(ボケあり)とF5.6(ボケなし)が1プッシュで切り替わるようになっています。 小さなダイヤルでチマチマF値を変えるよりは確実で使いやすく、カメラを理解している人でも割り切って便利に使えます。かゆいところに手が届く機能です。
また、ZV-1にはNDフィルターが内蔵されています。オンにすると2段分暗くなりました。これで屋外でも背景をボカす表現ができるので、F1.8の明るいレンズを生かせます。旅先でのVlogで背景の他人の顔をボカしたい時にも役立ちますね。
ほかにも、露出をひたすら顔に合わせ続けてくれる「顔優先AE」が搭載されていたり、RX100 M7から強化された手ぶれ補正があったりとVlogに必要な機能が盛り盛り。至れり尽くせりだ...。
ZV-1にあるもの、ないもの
ZV-1に搭載された新しい機能を中心に確認してきました。ここではVlogに適していると言われがちだったRX100 M7と比べて、引き続きあるものとなくなったものをリストにしてみました。
RX100 M7とくらべて
引き続きあるもの
・USB給電しながら撮影可能
・Micro USBです
・動画撮影時間制限がない(熱による自動停止あり)
・リアルタイム顔AF/瞳AF(動物の瞳AFは静止画のみ、非リアルタイム)
・リアルタイムトラッキング
・S-Log対応(RX100 M7と同じピクチャープロファイルが使える)
・安定の静止画性能
なくなったもの
・コントロールリング
・NFC
・フラッシュ
・ファインダー(MIシューアクセサリのFDA-EV1MKは非対応)
・モードダイヤル
ひとつ残念なのは、RX100シリーズと違ってコントロールリングは搭載されていないこと。マニュアルフォーカスを割り当てたかったんですけど...。
主流のType-CではなくMicro USBが続投なのも辛いところですね...個人的にはこれが唯一の心のブレーキです。数日使った感触ではバッテリー持ちは決して良くはないので、モバイルバッテリーでこまめに充電する運用をしたいのですが、ケーブルが一本増えてしまいますね。
RX100 M2では使えたMIシュー用の外付けEVF(FDA-EV1MK)はZV-1には使うことができません。EVFは今のところあきらめるしかなさそう。ただし写真の性能は焦点距離以外はほぼRX100 M7と同等とのことなので、スチルカメラとしても活躍してくれるのは間違いなさそうです。
ZV-1だけあればVlogできる
使い込んでいくとまだ発見や気になる点が見つかりそうですが、今のところはソニーがこれをVlogカメラと名付けて発表したという事実だけでうれしいです。今までのカメラがVlog用途に少しずつ足りていなかったところを丁寧に解消していますし、動画ガジェットシーンの空気がガラッと変わった気がしてなりません。
不思議なんですけど、ソニーに「Vlogカメラだよ」って言われると、やったことなくてもVlogやったほうがいいんじゃないかって気持ちになるんですよね。ウォークマンの影響で外で音楽を聴くのが普通になったように、誰もがVlogするのが普通の世の中になったりして。
そんな妄想をしてしまうのも、ZV-1さえあればひととおりVlogができてしまうパッケージ感のおかげです。余計なリグやケーブルなんて付けずに、手のひらにおさまるアイコン的なVlogカメラとして流行ってほしいなぁ、ZV-1。
このあと5月27日 正午より、ソニーZV-1によるYouTubeライブを配信します! 質問も歓迎ですのでぜひお越しください。