既成概念を解き放ち変わろうとしている現代において、オートクチュールが適切な方向へと向かっているのは、ピッチョーリの功績が大きい。
本来は、クライアントの体型に合わせたシルエットに仕立てるのがオートクチュールだ。しかし、ファッション界では背が高く、スリムな若いハウスモデルが起用されている。「通常、クチュールにはハウスモデルが1人いて、その体型をランウェイを歩く50〜60人のモデルに当てはめますが、私はこのルールを破り、さまざまな身体のプロポーション、サイズ、年齢のモデルを起用したいと考えました。しかし、1人のハウスモデルだけでは不可能なので、プロポーションの異なる10人のハウスモデルを集めたのです」とピッチョーリは話す。 この多様なキャスティングは、メゾンの職人技の高さも示していた。漆黒のベルベット素材のガウンは、絡み合うストラップがモデルの肩を縁取り、ウエストを引き締め、裾に向かって広がるスカートのボリュームがバランスを保っている。チョコレート色のチュールドレスは、3カ月にわたって手刺繍された2kgもあるヴェネチアンガラスビーズがあしらわれ、モデルのボディラインを包むように輝いている。
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ソース: voguejp - 🏆 34. / 63 続きを読む »