96年当時、ゴーストフェイスは携帯電話とヴォイスチェンジャーを駆使して人々の裏をかくことができた。あのとき主人公のシドニー・プレスコット(ネーヴ・キャンベル)がボーイフレンドを殺人者と疑ったのは、彼が携帯電話をもっていたからだ。
いまならスマートフォンをもっていない人のほうが、殺人鬼ではないかと怪しまれそうである。だが、スマートフォンの普及によって固定電話に応答する必然性がなくなった一方で、誰もが居場所を知られてしまう時代になったことも事実だろう。『スクリーム』の第1作。最大の恐怖が訪れるのは、誰かが固定電話に出た瞬間だった。 ©EVERETT COLLECTION/AMANAIMAGES最新作の『Scream』(紛らわしいことに第1作とまったく同じ題名だ)は、この点にぞくっとする恐ろしさを見出そうとしているようだ。この映画の2分間の予告編には、自宅にかかってきた恐ろしい電話の声を聞き、自分を守ってくれるはずのスマートロックのアプリと必死で格闘する若い女性の姿が映っている。この一撃で、観客はゴーストフェイスがホラー映画の絶対的なヴィラン(悪役)であり続けた理由を思い知らされる。彼は生身の人間なのだ。
同じホラー映画という世界でも、『13日の金曜日』のジェイソンや『ハロウィン』のブギーマンことマイケル・マイヤーズとは違い、あのコスチュームをまとった人物は超常的な力などもっていない。自分が襲われればよろめきもするし、うめき声も上げる。 『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーのようなかぎ爪ももっていない。ゴーストフェイスにできるのはガジェットを駆使することだけだ。そのことがゴーストフェイスを、より現実味のある、かつてないほどに恐ろしいキャラクターに仕立てている。最新技術が、新たな手口の虐待行為にすでに利用されていることは周知の事実だ。女性が被害者になることが多いドメスティックヴァイオレンスは、スマートデヴァイスをはじめとするハイテク機器の悪用によってさらに増える恐れがある。実際、ストーカーに狙われていることに気づいた女性が、紛失防止タグの「AirTag」が自分のクルマに貼り付けられているのを見つけたという話が、ソーシャルメディアにいくつも投稿されている。新生・スクリームがそれを実現できるのか、そしてどう見せてくれるのかはまだわからない。それでも映画のタイトルが『スクリーム5』でないことは注目に値する。この作品のいちばんの狙いは、シドニーを、そしてゲイルやデューイたちを呼び戻して究極の恐怖を感じさせ、さらに賢くなって不気味さを増したヴィランを新たに登場させることなのかもしれない。フレディのようなモンスターたちは、そもそ
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