主要な調査目的はアメリカで問題になっている鎮痛薬オピオイド乱用の広がりと、新型コロナウイルスの感染状況を把握することだった。その過程で私たちは地域の保健当局が活用できるよう、この2つを扱った世界初のオープンアクセスのデジタルダッシュボード(データの一覧表示ツール)を作成した。一方で、私たちが絶えず自分の胸に問うべき問題がある。採取が許されるのはどんな情報か。データの匿名性を担保するには何人の排泄物をまとめて採取すべきなのか。そもそも下水データは誰のものか。
何であれ強力なツールは両刃の剣だ。使い方しだいで便利にも危険にもなる。下水疫学調査も例外ではない。うまくいけば致死性の病原体をたたくのに役立つが、下手をすれば地域の中の弱者たたきに手を貸すことにもなる。
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