スタジオジブリの「特異性」に変化は起きるのか 日本テレビ子会社化の衝撃

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日本テレビの子会社化が9月21日に発表された「スタジオジブリ」(東京都小金井市)。スタジオジブリといえば宮﨑駿監督のアニメーション映画など、映画上映を前提とした長編アニメの制作を専門とする制作会社として知られる。ほかのアニメ制作会社にはない「特異性」を抱える同社について、日本テレビ側は「アニメ制作に専念してもらう」と強調。子会社化によって、膨大な年月と人件費をかけて長編アニメを専門に制作してきた従来のスタイルに変化が起きるのか、注目される。スタジオジブリは昭和60年に設立。「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など数多くの長編アニメを制作してきた。21日に行われた記者会見で、スタジオジブリの鈴木敏夫社長は「ジブリは長く後継者不足に悩んできたが、日本テレビさんに経営を任せることにした」と説明。同席した日本テレビの杉山美邦会長は「今のジブリのアニメ制作を最大限尊重していきたい」と強調した。

アニメーション研究家でデジタルハリウッド大特任准教授を務める津堅(つがた)信之さんは「多くのアニメ制作会社がテレビのアニメシリーズやゲーム映像、CMのアニメーションなどを制作する中、長編アニメを専門的に制作するアニメ会社は世界的にみても極めてまれなケース」と指摘する。成長続ける配信市場 帝国データバンクが実施した「アニメ制作市場動向調査」によると、昨年(1~12月期決算)のアニメ制作業界の市場規模(事業者売上高ベース)は前年(2540億4800万円)を6・4%上回る2703億9200万円。2年連続での減少から一転し、3年ぶりに市場が回復した。ただ、アニメを取り巻く環境自体は近年、大きな変貌を遂げている。

日本動画協会(AJA)の集計によると、令和3年のアニメ配信市場の売り上げは1500億円を突破し、過去最高を記録した。帝国データは「アニメの視聴機会がテレビからネット配信へ軸足が移る中、新たなビジネスチャンスが広がっている」と指摘する。スタジオジブリは今年7月、宮﨑監督の最新作「君たちはどう生きるか」を7年の歳月をかけて完成させ、全国の映画館で上映した。ただ、子会社化によって、これまでの「長編アニメ」重視の制作スタイルは、見直しを迫られることも考えられる。

 

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