ただ、ブリンケン国務長官は活動家やジャーナリストへの嫌がらせに関与したサウジ人76人のビザ(査証)制限を発表したものの、ムハンマド皇太子に関する措置は明らかにしなかった。財務省の制裁リストでは元情報機関高官1人や王室警備隊の「迅速介入部隊」を名指ししたものの、皇太子への言及はなかった。
政権当局者によると、ムハンマド皇太子を制裁対象にすれば「あまりに複雑」な事態を招き、サウジ駐留米軍の利益を危うくしかねないとの判断から、皇太子の制裁は一度も実質的な選択肢にならなかった。その結果、政権は皇太子を制裁対象とする方法について選択肢の作成を国務省に要請することすらなかったという。制裁に踏み切る意向かとの単刀直入な質問には「その通りだ」と答え、「カショギ氏が殺害され遺体を切断されたのは、皇太子の命令だったと思う。私ならサウジにこれ以上の武器を売らず、彼らに代償を支払わせ、実態通りパーリア(嫌われ者)国家にする方針を明確にする」と述べていた。報告書の発表を受け、サウジ外務省は「否定的で誤った、受け入れられない評価であり、全面拒否する」と反発した。
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