最近、中国政府は半導体関連分野の産業政策を一段と強化した。半導体関連企業の研究開発や製造技術の向上を強く支援するため産業補助金などを拡充する。米国の圧力を克服して、先端〔回路の線幅が1桁ナノ(ナノは10億分の1)メートル台〕のチップ製造技術の向上を急ぐ。
今後、半導体などの分野で米中の対立は一段と激化することは間違いない。微細化とチップレットなどの技術進化で、さまざまな半導体関連部材の重要性も高まる。半導体製造用の封止剤や感光材やセラミックなどの分野で、わが国には比較優位性の高い企業が多い。わが国が半導体産業の競争力向上を目指すために、関連分野の支援策はさらに強化することになるだろう。ファーウェイの半導体設計能力、大手ファウンドリー中芯国際集成電路製造(SMIC)の微細化推進、政府系製造装置メーカー北方華創科技集団(NAURA)の実力向上を急ぐ産業政策の方針はより明確になった。また、中国は汎用型の半導体を組み合わせてより高性能な演算ユニットなどをつくる“チップレット方式の”生産技術の強化も進める。■いち早くTSMCの信頼を取り付けた日本
欧州委員会も半導体分野の支援強化に動いた。2023年8月“欧州半導体法”を採択し、ドイツ東部のドレスデンにTSMCの工場建設を発表した。主に車載用の半導体(線幅で20ナノメートル台)の生産を計画する。ドレスデンでの投資額は1.5兆円を上回ると予想される。独仏アイルランドに加え、ポーランドにもインテルは半導体の組み立て・検査工場を建設する計画だ。 今後、中国政府は半導体関連分野の補助金政策などをさらに強化し、米国の圧力に対抗しようとするはずだ。主な方策として先端半導体の強化に加え、中国は汎用型チップの製造技術を駆使し、より高い演算などを行う半導体の製造技術の確立を目指すだろう。異なる機能を持つ半導体を組みあわせて一つのチップのように作動させる“チップレット方式”の重要性は高まる。2023年、チップラー(奇普楽)という中国の半導体スタートアップ企業が、米国企業の手放したチップレット関連の特許を取得したことが明らかになった。そのあたりから中国半導体産業でチップレット関連の研究開発は加速した。半導体支援策の強化で中国は、チップレット分野の技術向上も目指しているはずだ。
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