人間国宝の落語家、柳家小三治(やなぎや・こさんじ、本名・郡山剛蔵=こおりやま・たけぞう)さんが7日、心不全のため81歳で亡くなった。長年、小三治さんの落語を聞き、関連著書も多い落語評論家の広瀬和生氏に、その魅力や残したものについて聞いた。取材でなく初めて小三治師匠にお会いしたのは、平成26年に師匠の本を書くにあたり、許可をもらうためでした。でも、なかなか書いていいと言ってくれない。(古今亭)志ん朝師匠や(立川)談志師匠のエピソードを話してくれて、1、2時間たってから「あなたがこう思ったって書くのはいいんじゃないですか。ま、ほめられても俺は喜ばないけど」と。同時に、「落語はこういうものでなくてはいけない」という考えを強く持っているはなし家でした。若いころは六代目三遊亭圓生(えんしょう)師匠のきっちりとした落語を名人芸だと思っていたけど、だんだんと自身の師匠である五代目柳家小さんさんが言うところの「了見(りょうけん)で話す」が落語なんだという風に変わっていった。現代の落語はともすれば説明過多になりがちですが、その傾向に警鐘を鳴らしていました。
年を取るにつれて高座にかける演目が絞られていった感がありますが、まくら(高座の導入部分で身近な話題を語るもの)で気ままに話す姿も含め、「小三治師匠に会う」のが楽しかったんです。孤高の人だし、人間国宝と思えば恐れ多いんですが、寄席によく出ていて、ファンには身近な人でもあった。すてきな日常の中に小三治師匠がいた。師匠自身も、落語をやるのは日常だったと思います。 「厩火事」は夫婦げんかを描いた滑稽話だけど、小三治師匠は人情噺(ばなし)だと思っているとおっしゃっていた。師匠の理想は高座の上から演者が消えてしまうこと。演劇のように「登場人物を演じる」のではないんです。
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