妻や夫から、合意なく性的な行為を強要される「夫婦間レイプ」。一般的に「夫婦」という関係にも「レイプが成立する」という認知が低く、実際に「自分が配偶者からのレイプの被害者となっていること」に気づいていない人も少なくない。
2017年度の内閣府男女共同参画局の調査では、約1割の女性が配偶者から性的強要を受けたことがあると回答。筆者が拠点とするフランスでは、内務省の報告(2017年度)によると性暴力や性的攻撃の被害者のうち約3割の女性が配偶者、又は元配偶者からによる被害だったと挙げている。パリでそのヒントを求めるため、DV(配偶者や恋人からの暴力)を受けた女性の状況改善を支援する団体「パリ14区に位置する、20世紀初頭に造られた石造りの建物の一室。ドアを開けると、ほんのりとバニラの香りが漂い、ボサノバ風の心地よい音楽が流れる。パステルカラーを基調にしたアパルトマンの室内は、まるで女性の隠れ家風の空間だ。DV被害者の女性を支援する団体「ELLE'S IMAGINE'NT(エルシマジン)」の共同創設者で、臨床心理士のソニア・ピノ氏(Photo: Ayana Nishikawa)
室内では、ボランティアのスタッフたちがフランス中からのDVの電話相談に対応。別室では心理カウンセラーが被害者の話に親身に耳を傾けている。ここに訪れる女性は、パートナーから心理的攻撃、身体的暴行、性的強要などのDVを受けた女性たちだ。この団体では、各被害者の状況に合わせて、司法プロセスの案内や心理的なサポートをしている。2018年には、320人のDVの被害にあった女性がサポートを受けた。 一見、よくある女性援助団体のようだが、特別な点は何なのか。前出のピノは、創設のきっかけをこう語る。「パリには、DV被害者の女性同士がグループで話し合う機会が少ないのです。一方で、DV被害者の女性たちにとって最も大切なのが、同じ経験をした人たちと話すこと。なので、女性たちが会話できる場を設けるために団体を創設しました」
夫婦間と言えども、同意のないセックスはレイプだからね
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