現在デジタルの世界においてGAFAは強大なプラットフォーマーとして君臨している。時価総額だけで見ればデジタルを越えて全産業の中でもその存在感は圧倒的でもある。もちろん今後も彼らの成長は続くと予想されるが、超長期戦略の視点で考えると、次の10年にはデジタルだけでなくフィジカル領域をも巻き込んださらなる破壊的プラットフォーマー達が登場することが予想される。そしてその最右翼にいるのがテスラを中心としたイーロン・マスクの生態系だろう。一般的な日本人のイメージのイメージは、パナソニックの高性能蓄電池を並べてかっこいいEVスポーツカーを製造販売していて、最近はスペースXで民間宇宙ロケットも開発して前澤さんを月に連れて行ってくれる会社、ということになるかも知れないが、2008年にテスラロードスターのファーストモデルを発売してからわずか13年、彼が打ってきた布石は非常に多岐にわたる。
例えば、現在毎月150機以上の衛星が打ち上げられているが、今年の2月以降はスペースX社の衛星がその半分以上を占めていて、膨大な数のスターリンク衛星がすでに打ち上げられている。これは全世界をカバーする衛星ブロードバンド通信網を構築するためのものだ。このように、すでにイーロン・マスクの生態系は確実に構築されている。元々パナソニックの畜電池を制御するソフトウェアこそが、テスラ社の最大のコアコンピタンスであった。そこから今では電池の自社開発もスタートし、自動運転も他社とは異なる独自の仕組みを開発し、そのためのAIも開発している。トラックの開発や地下トンネル、都市間交通のハイパーループ、全地球通信ネットワークとその広がりは壮大だ。
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